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山崎元のマネー経済の歩き方

投資判断としての半分売却

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第117回】 2010年2月22日
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 先日、ある資金の運用を検討する委員会でなかなか難しい問題に出合った。

 その資金は非常に手堅い運用方針で運用されている。格付けの高い債券に分散投資し、原則的に満期まで保有する。しかし、企業が発行する社債や地方自治体が発行する債券などでは、投資してから時間が経過すると格付けが下落することがある。こうしたとき、保有する債券を売却しなければならない場合があるが、ここで次のような問題にぶつかった。

 投資判断としては、保有する債券のたとえば半分を売却したいのだが、これができないというのだ。

 このファンドの運用を監査する会計士は、ある債券を満期保有目的で満期まで保有するなら時価評価の対象にしなくていいが、部分的に売却すると、その債券は売買目的で保有していると見なされるため時価評価しなければならないという。一方、運用する側では、時価評価を避けたいので、仮に債券を売却するなら全部売却しなければならないと考えている。

 会計士は、一つの同じ債券に対して、「売買目的」と「満期保有目的」の二つの判断が共存することは矛盾だと考えているらしい。

 これには困ってしまった。

 投資判断の問題として考えると、半分売却も含めて部分売却は「一つの投資判断」だ。たとえば「2%まで持つことはできないが、1%なら持ちたい」とリスクとリターンを判断しているとすれば、2%持っている債券を1%は売却し、残りの1%を保有することについてなんの矛盾もない。

 債券を買うときには、その債券自体に対する判断とポートフォリオ全体に対する判断とを組み合わせて、購入額を決めており、事情の変化に応じて途中売却する際の考え方もこれと同じだ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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