たまには映画のお話から――。

 マーティン・スコセッシ監督の作品のひとつに『ディパーテッド』という名作がある。レオナルド・ディカプリオとマット・デイモンのダブルキャストで、これにジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ、マーティン・シーンといったお歴々が加わる。

 映画の舞台はボストンだ。今年レッドソックスが優勝した街ですね。

 あ、このあと、端折りながらエンディングまで紹介しちゃいます。掟破りのネタバレ
なので、映画の全容を知りたくないという方はお気をつけください。あらかじめお断
りしておきます。

 南部は“サウシー”と呼ばれている。アイルランド系のアメリカ人が多く住み、上流階級が集う北部とは対照的に、犯罪が蔓延している地域だ。その、サウシーの顔役が、ジャック・ニコルソン演じるフランク・コステロ。アイリッシュマフィアである。

 彼は麻薬を街に流し、暴力と恐怖でサウシーを支配している。誰ひとりコステロに逆らう者はないが、表向き、彼はイタリア系マフィアの侵入を防ぎ、善良な市民たちの面倒見のよさを売りにしている。サウシーで顔を見知った者の葬儀には、花束と弔いのカードを贈ったりもするマメな一面もある。イタリア系もそうだが、移民の子孫たちは民族的な結びつきが強いのだ。

「お前の父親を知っているぞ。お前の婆さんも知っている」

 こんなふうに言い、紙袋いっぱいの食べものを手渡しながら、コステロは子どもたちを手なずける。簡単な使いを頼み、子どもには不釣りあいな小遣いを与えたりもする。

 マット・デイモン演じるコリン・サリバンもそのひとり。

 幼い頃から目をかけられていた彼は、コステロの資金援助で教育を受け警察学校に進み、優秀だったことから、卒業後はいきなり特別捜査課に配属される。これはマフィア撲滅のための捜査課で、コステロの逮捕を最たる目的としていた。

 が、コリンはコステロの“ネズミ”なのである。映画では何度もネズミという表現が使われるが、要はスパイのことだ。そのために、コステロはコリンを養った。

 コステロの麻薬の取り引き情報等々をつかみ、特別捜査課は秘密裏に動くが、それらの情報は全て筒抜けなのである。だから、コステロは幾度となく逮捕の危機を脱している。