ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今週のキーワード 真壁昭夫

原油高騰の打撃のなか、
「生き残り」をかける自動車産業

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第36回】 2008年7月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 今年6月の米国の自動車販売台数は、前年同月比マイナス18.3%の約118万台と、大幅に減少した。これにより、米国の新車販売台数は8ヵ月連続で前年実績を下回ったことになる。米国の大手自動車メーカー3社のシェアは、45.8%と4ヵ月連続で50%を下回り、過去4ヵ月間に米国で販売された車の半分以上が、日本やドイツなど海外メーカー製というのが現状だ。

 その背景には、原油価格高騰によるガソリン価格の上昇などによって、自動車全体の売り上げが落ちていることに加え、燃費の悪い大型車に対する需要が減退していることがある。それに伴い、米国の大手3社が、生産計画の練り直しや一段のリストラ策の実施に追い込まれることは避けられない。

 株式市場では、「GMなど大手メーカーの資金繰りが悪化しているのではないか」との観測が流れているようだ。米国を初め世界の自動車メーカーにとって、今後、景気減速など一層厳しい経営環境になることが懸念される。現在、世界最高峰にあるわが国メーカーも安閑としていられないだろう。

GMを超え世界No.1を
達成したトヨタ

 元々、現在のようなガソリンエンジンを搭載した自動車を発明したのは、ドイツのダイムラーとベンツといわれている。ヨーロッパで産声を上げた自動車産業は、大西洋を挟んだ米国に渡り、そこで近代自動車産業の隆盛が本格化した。フォードが大量生産による“T型フォード”の生産を始めたことによって、「大衆の乗り物」としての地位を確固たるものにし、生産台数は飛躍的に拡大傾向を辿ることになる。

 その後、GMがさらに大規模な生産体制を整え、フォードに代わって世界最大の自動車メーカーの地位を勝ち取り、長期間に亘って、世界ナンバーワンに君臨してきたのである。

 そのGMを、ついに昨年、生産台数ベースで上回ったのがトヨタ自動車だ。収益に関しては、経営状況の悪化に苦しむGMを尻目に、すでにトヨタはGMを凌駕する勢いだった。昨年の生産台数の逆転によって、名実共にトヨタが世界最高の自動車メーカーになったと評価する専門家は多い。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


今週のキーワード 真壁昭夫

経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。

「今週のキーワード 真壁昭夫」

⇒バックナンバー一覧