ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

「5つの出口策」は伝統的 or 非伝統的?
~「国民負担」への影響を考えるのに早すぎることはない~
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第118回】 2013年11月27日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

衆院財政金融委員会:
「出口」を例示した黒田日銀総裁

 黒田日銀総裁はこれまで再三、「出口」の議論は時期尚早としてきた。今月22日の衆院財政金融委員会でもそうした姿勢を維持した上で、出口の具体策として「保有国債の償還」「各種の資金吸収オペレーション」「付利の引き上げ」などを例示した。

 現行の量的・質的金融緩和(以下、QQE)が黒田総裁の思惑通りに進めば、出口は必ずやって来る。出口策としてどのような選択肢があり得るのかを整理しておくことには、一定の意義はあるだろう。

出口の5つの選択肢:
「伝統的」か「非伝統的」か?

 現実性の高低は無視した上で、「出口」の選択肢を挙げるとすれば、①超過準備の付利水準引き上げ、②自己宛ての有利子手形の売りオペ、③保有国債の償還待ち、④保有長期国債の売りオペ、⑤法定準備率の大幅な引き上げ、などとなろう(図表1参照)。

①超過準備の付利水準引き上げ

②自己宛ての有利子手形の売りオペ

 ①と②については、前者が超過準備に対する付利水準、後者が日銀を支払い者とする手形の金利水準を誘導対象とする、という違いはあるが、いずれも本質的に「利上げ」であり、「伝統的な引き締め策」に分類できよう。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧