本日のテーマは「お金」です。お手元の1万円を手にとってよく見て下さい。印刷されたただの紙ですね。1万円札の原価は、約20円です。20円の紙きれを、私たちは1万円だと思い込まされているわけです。なぜ、こんなことが可能なのでしょうか。お金(紙幣)の歴史を見ていきましょう。

世界最初の紙幣は、国ではなく、
金融業者が作った

「お金」の価値はどうやって決まるのでしょうか。たとえば、金貨・銀貨なら「このコインは金何グラムなので○○円」と重さで価値が決まります。

 ところが紙幣、たとえば1万円札などは、ただの紙きれに「1万円」と書かれてあるだけですね。原価にしてみると、約20円です。何がこうした価値を保証するのでしょうか。それは発行者の「信用」です。

 民間の金融業者が、金銀の預かり証として発行したのが紙幣の始まりです。金銀をたくさん持っている金融業者が発行するため、信用されたわけです。

 これが社会に流通してくると、政府がこれを真似して紙幣を発行しようとします。「この紙幣は○○円であ~る。信用せよ」と、政府がお墨つきを与えるわけです。世界最初の紙幣は北宋の「交子」です。内陸の四川で発行されました。