10月中旬、阪急阪神ホテルズで食材の偽装表示問題が発覚したことを皮切りに、有名ホテルや老舗百貨店でも次々と同様の偽装が表沙汰になった。足もとの11月下旬に至っても、いまだに新たな偽装問題が浮上し続け、メディアを賑わせている。さながら今の日本では、食材偽装表示の「吊るし上げフィーバー」が起きているかのようだ。企業として、お客が口にする食材の表示を偽装することなど、言語道断の行為である。しかし、食材・食品関連の社会問題は今回が初めてではない。にもかかわらず、過去に例がないほど「吊るし上げ」が長期化しているのは何故なのか。問題を生活者側から読み解くことで、日本社会の構造変化の一端が垣間見えてくる。(取材・文/ジャーナリスト・高橋大樹、協力/プレスラボ)

騒動はいったいいつまで続くのか?
食材偽装表示の吊るし上げフィーバー

 いったい、この騒動はいつまで続くのだろうか――。

 10月中旬以降、有名ホテルや老舗百貨店で次々と「食材偽装表示問題」が表沙汰になり、世間の批難を浴びている。足もとの11月下旬に至っても、いまだに新たな偽装問題が浮上し続け、メディアを賑わせている。さながら今の日本では、食材偽装表示の「吊るし上げフィーバー」が起きているかのようだ。

 騒動の発端は10月22日。阪急阪神ホテルズが経営する複数のホテルで、提供している料理の食材に誤表示があったことが明らかになったことだった。

「ビーフステーキ」と表示されていたものは、実際には「牛脂注入加工肉」であり、「鮮魚」と表示されていたものは「冷凍保存された魚」だった。ホテル側は「担当者の認識、理解不足」と説明。しかし騒動は急速に広がり、返金や出崎弘社長の謝罪、そして辞任劇にまで至った。

 その後、他のホテルでも食材の偽装表示が次々に発覚した。同月26日には、ザ・リッツ・カールトンが7年前から偽装を行っていたと公表。29日にはルネッサンスサッポロホテルも、エビの種類に関して9年前から意図的に異なる表記をしていたと謝罪した。