「公共事業を公約して当選!」
現代日本と古代ローマの共通点

氾濫の期間、農作業ができない人民に仕事を与える失業対策、治安対策としての公共事業でもあったことが、発掘調査により明らかになってきました。

 これは、ケインズ主義の起源ともいえます。その莫大な財政支出を支えたのは、ナイルの恵み―農業収入でした。

 古代ローマの遺跡、アッピア街道やコロッセウム(闘技場)、公衆浴場は大規模な公共事業の産物です。また、パンの無償配給と剣闘士の試合の無償提供も、ローマの政治家の重要な仕事でした。

 選挙制度があったローマでは、立候補者は「この道路を改修します」、「公衆浴場を新設します」と公共事業を公約して当選したのは、現代の日本とまったく同じです。ギャグ漫画『テルマエ・ロマエ』の世界です。

 政界入りを望む若者は、30歳で就任できる財務官からキャリアをスタートさせ、国土交通大臣にあたる按察官を目指します。道路の補修、上下水道の管理、剣闘士の試合などを担当する官職で、市民に名前を売るには最適でした。