ビール大手5社が加盟するビール酒造組合は、来年4月の消費増税を機にビール類の減税要望を出している。背景と実現度を聞いた。

ビール酒造組合会長代表理事(キリン社長)磯崎功典 <br />ビールの高い酒税率 <br />消費増税を機に見直すべきPhoto by Masato Kato

──2014年4月からの消費増税の影響をどうみますか。

 駆け込み需要の後のビール類需要は間違いなく減る。年換算で2~3%は市場が縮小するとの見方もあります。現在、350ミリリットル缶でビールには77円、発泡酒には47円、新ジャンルには28円もの酒税がかかり、これにさらに消費税が加算される二重課税状態です。ここで消費増税されると、消費者負担はいっそう膨れ上がります。

 日本のビール産業が高税率によって衰退するのを看過することはできません。ビール酒造組合では「消費増税を契機に、長年の悲願であるビール酒税減税を行ってほしい」と自民党税制調査会や財務省などに働きかけてきました。

──ビール類が減税されたことはこれまでほとんどありません。

 組合は減税要望を10年以上続けていますが、今回は会員全社が「今こそビール酒税減税を実現して歴史を変えよう」と完全に一枚岩です。陳情先の政・官もおそらくそれをちゃんと見ており、少なくとも“取りつく島がない”という感触ではない。なんとしてもビール酒税減税を、12月半ばに決定される改正税制大綱に載せてもらいたいと日々活動を続けています。

──減税が行われると、ビール各社の商品ポートフォリオ戦略などは変わるのでしょうか。

 これまでメーカーはビール、発泡酒、新ジャンルのいわば三つの“クラス”を用意し、配分を行ってきました。お客さまも三つのクラスからそれぞれのTPOに合わせた選び方をしてきた。これが変わるとその配分を変えなければならない。キリン社内でもいくつか前提を変えてシミュレーションをしています。