研究者の時間を稼いでくれる巨大設備

 最先端分野の研究開発は、常に「時間との戦い」である。日本には研究者の仕事をしっかり支える最強の最先端装置がそろっている。ただし、これまではなかなか研究者と施設側との間で足並みが揃わなかったのだ。では、どうすればいいのか。

 「元素戦略」では初めから、国内にある巨大設備・最高の道具立てを徹底して使うことを浸透させた。そのためにそれら装置の専門家も「元素戦略」のグループにはじめから引き入れ、個々の研究内容を理解しつつ、それぞれの研究に特化したプログラム、操作を行なうという方法で進み始めた。

 これは、日本の科学技術、産業界にとっては大きな支援である。これまで世界最先端の設備を有しているにもかかわらず、それらを十分には活かしきれてなかったのが、「元素戦略」というプロジェクトを通して初めて「一体」となった。これは大きい。

 これらの施設の研究者も材料研究への理解を深め、「元素戦略」の研究であれば優先的に使用できる等の運営がなされようとしている。物理学者による知の探究に付加する形で、産業競争力へも舵を切った大英断だと思う。


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日本の「元素戦略」は、<br />なぜ世界のトップを走れるのか?

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レアメタルと呼ばれ、日本を支える高度技術の要となる希少元素。その機能を、鉄やアルミなどのありふれた元素で置き換え、日本を資源大国へと変貌させる国家的施策が「元素戦略」である。科学と産業に革命的なインパクトを与えるこのプロジェクトの狙い、進捗状況、日本産業への貢献をあますところなく語り尽くす。

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