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再び下落する金価格〜世界経済正常化と安全資産ブームの終焉〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

来週の重要経済指標、主要企業決算についてPDF版のレポートで解説しています


昨晩(12月12日)、NY商業取引所における金先物価格が1,226ドル/トロイオンスまで大きく下落し、12月初旬の水準まで再び調整している。最近の金価格停滞の一つの特徴は、国際商品市況全体が持ち直している中で、起きていることである。金も商品(コモディティ)の中の一つなので、原油などの他の商品市況に連動して動く場面が多いが、原油価格などが持ち直している中で、金価格は停滞している(グラフ参照)。


2013年初に1,700ドル近辺にあった、金先物価格はこの1年で大きく低下したわけだが、2013年6月末にも、現在同様1,200ドル近辺まで急落する局面があった。この時は、中国の短期金融市場での金利上昇で、中国株が急落したことが金価格下落をもたらした(グラフ参照)。金の需要を支える中国経済の変調が嫌気されたのである。


この時のレポート(6月27日)において、「(同時に急落した中国株と金価格に投資妙味があるとすれば)、中国株の方が高いリターンが見込めるのではないか」と述べた。中国の金融市場の混乱が和らげば、双方に急落後の反転が想定できる。ただ、金価格は、2012年までの欧州債務危機などを背景にブーム的に上昇した反動から、調整に転じた大きな流れがあると考えたからである。

中国経済や政治への不透明感は根強く、先進各国と比べると冴えないが、中国株は6月末の安値からリバウンドしている。対照的に、金価格は再び6月末の安値水準まで下落する格好になっている。

最近の金価格の下落は、金市場において、安全資産ブームの終焉に伴う調整圧力が未だに根強く残っていることを示していると言えるだろう。また、先進各国の危機封じ込め・デフレ対応策(アベノミクス含めた金融緩和策)が功を奏して「経済の正常化」が続く中で、「究極の安全資産」である金から、株式などのリスク資産への資金シフトが続いている側面があるともいえる。

グラフでは、2009年4月以降の国際商品市況(CRB指数)と金価格を比較している。この時間軸でみると、2012年までブーム的に上昇していた金が、2013年に大きく調整していることが分かる。そして、依然、CRB指数よりも金価格は上にある。仮に、金価格の一部を形成している、「安全資産」としてのプレミアムがなくなり、金が「普通の商品」に戻る過程にあるなら、更に調整してもおかしくない。


今後、米FRBの量的金融緩和縮小が予想されるが、これは米国を中心に世界経済の正常化の第一歩と位置づけることができる。世界経済の正常化と金相場が大きく関係しているという筆者の見方が妥当ならば、金価格にもう少し調整余地があるということになる。そして、安全資産ブームの調整過程が続くことは同時にリスク資産への追い風が続くことを意味する。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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