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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

中小企業の景気実感、21年ぶりの改善は本当か
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第120回】 2013年12月18日
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 アベノミクスの成功を証拠づけるように、12月調査の日銀短観が改善した。中でも、中小企業の景気実感がかなり良くなっているという。これは本当に信じてよいことなのだろうか。

 少し解説しておくと、日銀短観は企業に対して景気の実感を「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の三択で答えてもらい、「良い」と回答した割合と「悪い」と回答した割合を差し引いて、業況判断DIとして表示している。

 12月の調査では、業況判断DIについて、大企業・中堅企業・中小企業、製造業・非製造業のいずれもがプラスのDIに転じた。これは「良い」という回答が、「悪い」の回答を上回っていることを意味する。本当に、「良い」という企業数が多数派になったことを真実として受け止めてよいのだろうか。

 筆者が驚くのは、中小企業のうち、非製造業の業況判断DIまでがプラスになったことだ。中小企業・非製造業のプラスは、実に21年ぶり。1992年3月調査以来のことである(図表1参照)。1990年代にバブルが崩壊してから間もなくの状態をまた取り戻しているという感覚は、にわかに信じ難い。一体、この変化は本当なのだろうか。

浮上してきた小売業

 中小企業・非製造業のうち、個別の業種の業況判断DIを調べると、個人消費周りが改善している特徴があることがわかった。

 特に、従来に比べて改善しているのは小売業である。卸売業、サービス業、運輸・郵便業と小売業の4つについて、長期時系列のデータで業況判断DIの推移を見てみた(図表2参照)。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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