複数の保険会社の商品を販売する「乗り合い代理店」が集まった業界団体が最近相次いで設立されている。ショッピングモールでもよく見かけるほどに、業界も成熟化してきたのだ。

「ザ・セイホをぶっつぶせ!」

 2年前に発足した「保険代理店協議会」が11月に開催したオープンセミナーで、こんな過激な発言が同協議会の関係者から飛び出した。従来の「ザ・セイホ」、つまり国内の大手生命保険会社が自社の商品だけを販売する1社専属制に固執しているのに対し、乗り合い代理店は顧客の相談に応じて安価で適切な保険を販売することで人気を博しつつある。先ほどの発言とは別の幹部だが、今野則夫・ライフプラザホールディングス社長は「保険市場は縮小しているが、来店型の乗り合い代理店やネットはまだまだ成長産業だ」と言い切る。それだけにいずれは同協議会から生保に商品開発などの要望を出すことも考えている。

 ただ手放しでは喜べない。インターネットや銀行などの新規参入組も力をつけつつあり、乗り合い代理店同士の競合も激しくなっている。今年活動を開始した「保険健全化推進機構 結心会」は主に4~20店舗程度持っている中堅の代理店が多く集まった団体。前述のライフプラザのようにグループ合計142店舗もある大型の代理店の台頭もあり、中堅以下の代理店は経営が難しくなっている。「今後、半年から2年が生き残りをかけての正念場だろう」としており、集客方法の研究や社内体制整備の研修など自己研鑽に力を入れている。

 ほかにも15日には保険代理店のコンサルタントらが発起人となって、代理店の経営革新を支援する「保険代理店経営革新アカデミー」も発足する。新旧交えた保険の販売チャネル間競争は、市場縮小のなかでますます激しくなりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)

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