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南アフリカの指導者、ネルソン・マンデラ氏が死去
だが、マンデラは生き、ビコは死んだ【前編】

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第58回】 2013年12月21日
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 たまには映画のお話を――、という書き出しをほんの二、三週前にやったような気もするが、どうかお気になさらず。

 今月五日、南アフリカ共和国のネルソン・マンデラ氏が逝去した。享年九五。

 マンデラと言えば、南アの悪しき政策“アパルトヘイト(人種作理政策)”と戦い、二七年に及ぶ獄中生活を経て、南ア発の黒人大統領になった人物として知られた指導者だ。一九九三年にはノーベル平和賞を受賞してもいる。

 アパルトヘイトという言葉は、実は英語ではなく、オランダ系移民がオランダ語を基礎に、黒人の言葉を取り入れながらつくった新しい言語での読み方だ。それをアフリカーンス語と言うのだが、そのまま英語読みすると、Apart-hate。直訳すれば“分けて、憎む”になる。

 と風刺されるほどひどい政策だった、アパルトヘイトというのは。

 黒人と白人が同じ公共施設を使ってはならない、同じトイレを使ってはならない、同じバスに乗ってはいけないといった差別は“小アパルトヘイト”と言われ、黒人には選挙権を与えない、黒人は政党をつくってはならない、黒人は決められた居住区に住まなければならない、外出の際、黒人は身分証を携帯しなければならない、政府当局が決めた仕事以外に就いてはならない等々の法律が“大アパルトヘイト”と呼ばれていた。

 これらに背いた黒人は、即逮捕なのである。失業者すらも逮捕の対象だった。とんでもない法律の中には、白人に向かって生意気な口を利いただけで逮捕されるというものまであった。ほんとだよ。

 南アに住む白人はイギリス系とオランダ系(アフリカーナー)とで二分されていたが、一九四八年、小差で政権の座に就いたアフリカーナー国民党が、後に、世界中の批難を浴びることになるこの人種隔離政策を法制化した。

 そのアパルトヘイトに立ち向かった黒人指導者のひとりがネルソン・マンデラだったのだけど、国人の中から有力な指導者が登場するにあわせ、国民党はこれでもかとばかりに彼らを雁字搦めにする法律を次々に法制化した。

 それが、人種集団地域法、共産主義鎮圧法、テロリズム法、国家反逆罪と言われるもので、これらは難癖いちゃもん法だった。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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