2013年も残すところあと数日。この時期に一年を振り返ると「いろいろなことがあった」という気分になるものだが、改めて年初からの出来事を眺めてみると、今年は特に「豊作」だった。正直、半年前に何があったかも、いま一つ思い出せないほどである。

 だからこそ、今年は一年の振り返りに、意味があるようにも感じる。あくまで私自身の独断と偏見だが、月ごとの主要ニュースを改めて読み解きながら、今年を締めくくりたい。

1月:Xperia Zの躍進

【概要】
 米国ラスベガスで開催された「Consumer Electronics Show」(以下CES2013)で発表されたソニーのフラッグシップモデル。最新スペックに加えて海外では珍しい防水仕様とフルフラットなデザイン、そして高いカメラ性能によって世界的に高い評価を受けた。他の事業部の最新技術も惜しげなく投入し、まさしく「One Sony」を体現したソニー復活の象徴となった。

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【解説】
 CES2013での華々しいデビューには、私も立ち会っていた。確かにできのいい端末であるという印象は受けたが、当時はここまで世界的に評価を受けるとは思っていなかったのが、正直なところだ。

 ただ、Xperia Zにクアルコム製の高性能クアッドコアプロセッサが搭載されたというニュースには、やや驚きを感じていた。同機が最終的に製造を開始する昨年秋冬の段階で、同プロセッサは世界的な品薄状態にあり、ソニーのXperia程度の生産量では調達が困難とみられていたからだ。いま思えば、その時点でiPhone 5が(特に欧州市場で)やや不調だったことから、高性能プロセッサやチップセットの需給バランスが一時的に崩れ、ソニー陣営に追い風となったのかもしれない。

 もちろんそうした追い風を捕まえられたのは、ソニーが以前から良質な製品を投入して世界市場に踏みとどまっていた結果でもあるし、同社には今後も期待したい。ただ、様々なラッキーの上に現在の好調があること、逆に言えばちょっとした変化が雌雄を大きく左右する市場環境であることは、同社に限らずこの分野に参入するすべての事業者が、改めて理解しなければならない現実といえるだろう。