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12月24日 18時0分
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危機克服と正常化の進展〜FRBの政策変更の背景〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

先週(12月18日)のFRBによる量的金融緩和縮小をマーケットは好感し、クリスマス連休前に米国株市場は高値更新となっている。FRBの量的金融緩和縮小への思惑で市場は揺れ動き、株式市場は神経質になる場面もあったが、実際の政策変更に市場はネガティブな反応を示さなかった。

このマーケットの動きに対して様々な解釈ができるだろうが、一つにはFRBと市場の間のコミュニケーションがうまくいったことが挙げられるだろう。6月半ばにバーナンキ議長が量的金融緩和縮小のスケジュールに言及した(グラフ参照)。それ以降、FRBは量的金融緩和縮小は金融引き締めではないし、経済指標が十分回復することが、政策変更の条件であることを度々繰り返した。


夏場からの景気復調で、量的金融緩和縮小が9月に実現するとの市場の思惑が高まった時には、雇用統計の伸びの鈍化などを理由に判断を見送った。そしてその後公表された経済指標の改善を確認して、12月に量的金融緩和縮小を決断した。ぎりぎりの政策判断で変更を見送った慎重なFRBが改めてゴーサインを下した経緯もあり、FRBの政策判断を信用した投資家が多かったのだろう。同時に、現行の政策金利を長期化させるという声明を入れたことと合わせて、FRBの意図を市場に丁寧に伝えたことが功を奏したと言える。

先週18日のバーナンキ議長の質疑応答から、来年ほぼ1年をかけて、毎回のFOMCで100億ドルずつ資産買い入れ金額を縮小させるのがFRBの考えとみられる。もちろん、イエレン新議長体制になってから議論が変わる可能性もあるが、大きな景気減速が起こらない限り、この基本路線を念頭に政策運営が行われる。FRBの「非伝統的な金融緩和政策」の終焉が始まったということだろう。

FRBは、2012年まで景気刺激とデフレ防止を最優先にして、度々市場の事前の想定を上回る格好で金融緩和策を繰り出してきた。それまで、自国の緊縮財政(国債を巡る政治混乱)、欧州債務危機による世界経済減速、という2つの向かい風がデフレリスクを高めていたので、その対応策として量的金融緩和拡大策を繰り出していた。

これらの向かい風は、双方とも、リーマンショックの後遺症とも言え「膨らんだ国債問題」への対処に起因している。これに政治混乱が重なることで、危機勃発リスクを高め経済活動の足かせになった点で共通していた。2009年以降のVIX指数(恐怖指数)をみると、後遺症からいくつかの危機が頻発し、市場を混乱させていたことが分かる(グラフ参照)。


一方で2013年になると、米欧における政治に起因する危機は少しずつ和らいでいた。2013年にも、恐怖指数がやや高まったがいずれも限定的で、それらは着実に乗り越えられた。2013年になってリーマンショックからの後遺症といえる危機が、先進各国(日本ではアベノミクス発動)によって克服されつつあったと位置づけられる。

FRBが先週、政策判断の変更に踏み出したのは、足元の経済指標改善が最大の要因である。それに加えて、危機再発の克服が進む中で、FRBが最も恐れるデフレリスクがこの1年で和らいだという意味で「正常化」が進んだ、という状況判断があったと思われる。それ故FRBの政策変更が、「正常化のシグナル」と改めて市場で認識されたのだろう。

米欧で危機克服が進んだ2013年だったが、来年2014年は、世界経済が米国を中心に「正常化」の道筋を辿る1年という位置づけになる。この筆者の位置づけが妥当で、リーマンショックの後遺症である危機再発の可能性が低くなっているなら、リスク資産への投資という点でフェーバーな環境は来年以降も続くことになる。

投資先としては、正常化が最も進んでいる米国が安心できる投資対象となるだろう(利上げはかなり先だが、金融引き締めへの思惑でドル高が期待できる)。また、脱デフレの途上にある中で、消費増税という緊縮財政を始める日本についても、出遅れている輸出回復が景気を支える展開に期待できる。一方、FRBの政策を第一歩にして、正常化の動きが世界的に広がるという観点では、2013年にパフォーマンスが冴えなかった新興国を含めて、投資対象を広げることが有力な投資判断になる可能性がある。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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