映画をよくご覧になる方なら、ドルビーという名前はおなじみだろう。上映前の予告の時間に同社の宣伝ムービーを見た方も多いはずだ。

 僕自身も、ドルビーといえば「サウンド」というイメージを持っていた。ところが、今年10月のCEATEC 2007に映像技術を発表した。しかも、その画質が素晴らしく、認識を新たにした。

 CEATECでは、とても混雑していて詳しい説明を聞けなかったのだが、従来の液晶では考えられない映像が表現されていたのだ。

 僕が見たのは、渋谷の町並みの映像だったのだが、ネオンがまぶしいほどに瞬いていたのが印象に残っている。この時点では、仕組みすら知らなかったのだが、そのコントラストに驚き、早速取材を申し込んだ。

 今回は、そのレポートをお届けしよう。

 素朴な疑問は、なぜドルビーが映像なのか、ということ。だがこれは、認識違いであった。

 「ご存じない方が多いのですが、創設者のドルビー氏が最初に手がけたのは映像だったのです。1960年代に映像のノイズリダクション技術を開発したのです。ところが、ビジネスとしてはうまくいかず、同じノイズリダクションを音の方に移して会社が成功しました。その後、音声の世界をずっと手がけてきて、サラウンドなどが定着してきました。そこで今度は、映像に目を向けたのです」(ドルビージャパン マーケティング部シニア・マーケティング・マネージャー 尾関沢人氏)

画期的なLEDバックライト制御

 今回展示されていた技術は、「ドルビーコントラスト」と「ドルビービジョン」の2種類だ。とはいえ、技術的には非常に近い。

 かいつまんで説明しよう。一般的な液晶ディスプレイには、バックライトが備わっている。とくに、最近注目されているのが、輝度の高いLEDバックライトだ。

 大きなディスプレイになると、多くのLEDを画面に敷き詰めてバックライトとしている。ドルビーの技術は、このバックライトの点灯を局所的にコントロールしようとするものだ。