中国でインターネット通販が急拡大している。

 ITリサーチ会社のアイリサーチがまとめた調査で、2008年の中国におけるオンラインショッピングの売上高が1281億8000万元(約1兆8000億円)に達し、前年比で、じつに2.3倍という驚異的な伸びを記録した。

 利用者も、同45.5%増の8000万人に上り、その将来性を見越して、日本企業の参入も加速している。

 ネット決済代行業のSBIベリトランスは4月から、中国向け仮想商店街「バイジェイドットコム」の本格運用をスタートさせる。強みは、18億枚もの発行枚数を誇る中国版デビットカード「銀聯(ぎんれん)カード」の決済システムを活用することで信用を担保した点だ。

 中国の消費者は銀聯カード決済で安心して日本製品を直接購入できる。楽天も今年1月末に中国語版サイトをオープンしたばかりだ。

 中国で日本製品のニーズは高い。実際、関係者によると中国では、日本のネットオークションなどで商品を代理購入する業者が急増しているというのだ。ただ、だからといって成功が約束されているわけではない。この国の特殊事情が、参入企業の前に立ちはだかる。

 中国でのオンラインショッピングはCtoCが主流で、ジェトロによると、07年には9割を超えていた。個人の参入が簡単なので、副業として出店する会社員や学生も珍しくない。

 そのため大手でさえも、CtoCサイトの店舗は玉石混交で、「個人輸入された非正規品も無断で販売されているうえ、化粧品などは模倣品も多い」と中国進出のコンサルティング会社社長は指摘する。

 購入したパソコンの部品が中古品に取り換えられていたり、中身は安物の偽高級化粧品が送られたりするトラブルが後を絶たない。

 非正規品や模倣品と比較すると、新規参入する日本勢の商品は割高となる場合もあるため、どこまで受け入れられるかは不透明だ。ただ、昨年のネット人口が2億9800万人となり、世界一に躍り出た中国は、国内市場が頭打ちの日本企業にとってはなんとしても開拓したい市場だ。

 SBIベリトランスは「コピー製品を嫌う中流層以上をターゲットに据える」戦略だ。一筋縄ではいかない中国市場では、“メード・イン・ジャパン”の品質と信頼を売りにする地道な正攻法が、成功への近道かもしれない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部  山口圭介)