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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の57「論語」を読む。
年頭にあたり――「人知らず、而して慍らず」

江上 剛 [作家]
【第58回】 2014年1月7日
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 「子曰はく、学んで時に之を習ふ。亦説(よろこ)ばしからずや。朋(とも)あり遠方より来る、亦楽しからずや。人知らず、而して慍(いか)らず、亦君子ならずや」(学而第一)

 2014年が明けた。私もついに60歳になった。還暦だ。

 還暦は、干支が一巡して、元に還ることの意味のようだ。だから赤いちゃんちゃんこを贈られる。赤は魔よけの色だ。

 還暦になり、生まれ変わることができるなら、もう一度生き直して、数々の人生の分岐点で判断をやり直したい。結果が分かっている今なら、判断を間違えないで済むからだ。でもそれは不可能だ。

「無事」と悟り

 ゴルフをやっていてつくづく思うのは、人生と同じだなってことだ。ティーショットなど、どんなショットを打つ場合もイメージは最高だ。高くきれいに延びる弾道でボールが飛んで行き、グリーンをとらえる。ところがいざ、打ってみると、地面をしたたかに打ち、黒い土が顔を出す。

 「ああぁ」とため息が出る。「ひえっ」と悲鳴になることもある。力を入れ過ぎたなぁ。スタンスが悪かった。ウッドじゃなくてアイアンを持てば良かった……。何十となく後悔の気持ちが、一気に湧きあがる。しかし、もう遅い。打ち直すことはできず、とぼとぼとラフに向って歩くことになる。そしてまたその失敗を取り返そうとして、性懲りもなく失敗を繰り返し、傷を深めていく。止めりゃいいじゃないかと思うのだが、途中でゲームを降りることはできない。同行の仲間に迷惑をかけることになるし、何より自分が許せない。もっと上手くやれるはずだと信じているからだ。

 こんな繰り返しで、私などはたいした希望もなく還暦を迎えてしまった。新しい年だと言っても、今さら気負うことはない。なんとか無事に今年も過ごせればいい。それだけだ。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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