政府の2014年度予算案が決定した。総額約96兆円と過去最大規模になる。政治は税金の分配に他ならないのであるから、予算を分析して正しく理解することは、民主主義の基本中の基本と言っていいだろう。では、さっそく、新年度予算案の中身を見てみよう。

プライマリーバランスは
なお18兆円の大幅赤字

 2014年度政府予算案の概要は次図の通りである。

新年度予算を考える――「中負担・中福祉」か<br />「高負担・高福祉」か、日本の選択は待ったなし

 まず、歳入面では、消費税の引き上げや景気の回復等により、税収は7年振りに50兆円台を回復した。しかし、予算規模には遠く及ばず、新発国債で41兆円の巨額がなお必要とされる。ここで注意しなければいけないのは、来年度の国債発行額は(実は41兆円ではなく)181.5兆円と史上最高になることだ。

 これは、過去に発行した国債の借替分があるためである。つまり、わが国の予算を円滑に執行するためには、181.5兆円の国債発行が前提となっているということを忘れてはならない(例えば、長期金利が仮に1%上がると、それだけで利払いが、1.8兆円増加する構造となっている。このことは、わが国では金利が高騰すれば、予算の編成が極めて困難になることを示唆している)。

 次に歳出面では、社会保障が初めて30兆円の大台を突破した。次が公共事業の6兆円であるから、社会保障費を適切にコントロールすることがいかに重要であるかは一目瞭然であろう。この意味で税と社会保障の「一体改革」の重要性は、いくら指摘しても指摘し過ぎることはない。なお、社会保障費の内訳は、年金11.4兆円、医療10.9兆円、介護2.8兆円、子ども・子育て支援1.9兆円等となっている。