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円高修正の波及効果はこれから〜製造業の国内回帰〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

12月26日レポートでは、1ドル100円台が定着しつつあるドル円相場は、購買力平価で算出される均衡値に近い水準にあることを紹介した。この視点で長期的なドル円相場の位置を考えると、2013年に大きく円安が進んだが、「円安過ぎる」とは言えない。

以下では、現在の為替レートが、日本の製造業の価格競争力や行動に及ぼす影響を考えてみたい。購買力平価が示すドル円と実際のドル円を比較しているが、現在のように両者がほぼ一致するところまで円安になったのは、2007年以来である(グラフ参照)。


2007年半ばのドル円は1ドル120円前後である。現在の100円台の水準からみると、かなり円安水準にみえる。一方で、「購買力平価の理論値と実際の為替レートの差」は、輸出産業の価格競争力を表す。購買力平価の理論値より円高過ぎると、日本の製造業の価格競争力が低くなる。購買力平価との格差という視点でみると、現在の100円台の水準は、2007年当時と同じ程度、輸出企業の価格競争力が復調しつつあることになる。

2007年前後には、日本の輸出企業復活、製造業による設備投資拡大、また工場の国内回帰などの動きが進んだ。日本の輸出企業の価格競争力という点でみると、100円前後のドル円の水準で安定すれば、2007年当時と同様の動きが起こりうる。

丁度、本日(1月8日)の日経新聞において、「キヤノンは2015年までにカメラなど自社製品の国内生産比率を現在の42%から50%へ引き上げる」と報じられた。2012年までの円高への対応として、生産拠点の海外移転を進めていた戦略を修正する、ということである。

これまでの、日本の輸出回復のペースが鈍い一つの理由として、製造業の国外移転が進んだことが挙げられる。ただ、キャノンの戦略修正が示すように、国内生産比率を高めるなど生産拠点の国内回帰の動きが、2007年時のように製造業に広がればどうなるか。円高修正による輸出採算の改善も相まって、輸出・生産・雇用を押し上げる効果が表れる。

円安がもたらす経済回復の最も大きな影響は、日本企業の円ベースでの利益・売上を押し上げで、これが2013年の日本株市場の大幅上昇のけん引役になった。2014年には、円安(円高修正)の「波及効果」としての価格競争力回復や生産拠点の国内回帰の動きが、日本経済回復の下支え役として期待できる。この視点は、個別銘柄の一つの判断材料になるのではないか。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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