今回は、ここ20年の間に中堅の建設会社や大手生命保険会社などに勤務していた、40代半ばの男性を紹介したい。この男性を仮にA氏とする。現在A氏は、埼玉県内を拠点に生保の代理店を営む。

 彼は、20代から30代にかけて営業マンとして活躍した。その成績は他を圧倒するものだった。だが、いつしか同僚や上司などから妬まれるようになる。そして上司から殴られ、刑事事件に巻き込まれそうになったりした。

 男性は会社員の頃、理不尽な経験に繰り返し遭遇した。今は、会社員の生活をきっぱりと辞めて、自営業者として生きている。なぜ会社員時代のA氏が悶え続けたのかを考えながら、「会社員に求められる資質」について提言したい。

 悶え、苦しんだA氏の判断は、読者にどのように映るだろうか。


「ちょっと俺と一緒に会議室に来い」
部長に呼ばれて突然殴る蹴るの暴行を

殴る蹴るの暴力を受け、はした金で退職の憂き目に!<br />稼ぐ営業マンがぶつかり続けた“愛されぬ社員”の宿命取材に応じてくれたA氏

筆者 刑事事件?

A氏 以前、建設会社に勤務している頃に起きた。今も許せない。このあたりでは、名の知れた会社だった。業績もいいからね……。

 ある日、工事関連の部署の部長(52歳)から、「俺と一緒に会議室に来い」と言われた。私は営業部にいたから、その部長は直属の上司ではなかったの。だから、「何かあったのかな」と思いつつ、後について階上の部屋に向かった。

 中に入ると、誰もいなかった。部長は、きっと誰もいない場所をあえて選んだのだと思う。「お前から部屋に入れよ」と言われ、入った。そして、「おい!」と声をかけられたから振り返った。そしたら、いきなり殴られた。