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第2子妊娠でロンドン五輪に暗雲?“ママさんアスリート”谷亮子を悩ます新ルール

――「ママでも金」の前に、「世界ランキング制」を攻略できるか?

相沢光一 [スポーツライター]
【第47回】 2009年3月3日
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 日本女子柔道界の顔・谷亮子の第2子妊娠が明らかになった。おめでたい話ではあるが、全日本柔道連盟(全柔連)の強化担当者は困惑気味。それをスポーツ紙は、谷が北京オリンピックで果たせなかった「ママでも金」の夢をロンドンオリンピックにつなげるのが難しくなったからだ、と報じている。

 国際柔道連盟(IJF)は今年から主催する国際大会を「グランプリシリーズ」とし、獲得ポイントで選手を格付けする『ランキング制』を導入した。このランキングがオリンピックへの選考基準にもなるため、出産や育児で大会の欠場が多くなりそうな谷は、オリンピック出場さえ危うい状況になるというわけだ。

 谷への影響の有無は後述するとして、なぜIJFはグランプリシリーズを創設しランキング制を採用したのか、その経緯と詳細を解説しておこう。

「ランキング制」導入はいわば、
柔道の“プロ化”?

 IJFは2年に1回行なわれる世界選手権をはじめ、年間20ほどの国際大会を主催してきた。世界一決定戦である世界選手権は各国の強豪がこぞって出場する。が、それ以外の大会に明確なプライオリティはなく、派遣選手の人選は各国の競技団体任せだった。

 選手の中には外国選手との試合をより多く経験したいタイプもいれば、手の内を見せたくなくて国際大会出場を避けようとするタイプもいる。競技団体はそうした選手の意向を汲みつつ派遣選手を決めてきた。この大会には若手をチャレンジさせよう、あの大会には故障明けの選手を調整目的で出場させよう、といった具合だ。だから国際大会といっても一流選手が集まるとは限らない。そのため盛り上がりに欠ける大会も少なくなかった。

 その改善策として浮上したのが『ランキング制』だ。グランプリシリーズの成績をポイントとして加算し、世界ランキングとして発表する。さらにそれをオリンピックの選考基準とすれば、各国のトップ選手が積極的に出場するようになる。実力者が集い真剣勝負を見せれば、大会は盛り上がり、後援するスポンサーもつくしテレビ放映も期待できる。柔道への注目度は高まるうえ、資金的にも潤うというわけだ。

 好成績を収めた選手に与えられるのはポイントだけではない。賞金も出るのだ。グランプリシリーズはいわば柔道のプロ化。柔道のトップ選手は各国を転戦しポイントと賞金を稼ぐプロになったといえる。プロテニスの柔道版といえば解かりやすいだろう。

ランキングにおける
ポイントの計算方法とは?

 グランプリシリーズの大会は4つのカテゴリーに分けられている。格付けの高い順に並べると、

■マスターズ
毎年暮れにランキング上位者だけに出場資格が与えられる「年間王者決定戦」。開催地は韓国。ポイントは優勝=400、2位=240、3位=160…。

■グランドスラム
従来から格が高いとされていたフランス国際、ロシア国際、嘉納杯東京国際に新設のブラジル国際を加えた4大大会。テニスの4大大会を模したものだ。ポイントは優勝=300、2位=180、3位=120…。

■グランプリ
グランドスラムに準じる大会でドイツ国際など5大会。ポイントは優勝=200、2位=120、3位=80…。

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相沢光一 [スポーツライター]

1956年埼玉県生まれ。野球、サッカーはもとより、マスコミに取り上げられる機会が少ないスポーツも地道に取材。そのためオリンピックイヤーは忙しくなる。著書にはアメリカンフットボールのチーム作りを描いた『勝利者』などがある。高校スポーツの競技別・県別ランキングをデータベース化したホームページも運営。 「高校スポーツウルトラランキング」


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