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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

人に卓越性を発揮させて
優れた組織文化を実現するには
そのための行動規範が必要

上田惇生
【第367回】 2014年1月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
1890円

 「優れた組織の文化は、人に卓越性を発揮させる。卓越性を見出したならば、それを認め、助け、報いる。そして他の人の仕事に貢献するよう導く。したがって優れた組織の文化は、人の強み、すなわち、出来ないことではなく、出来ることに焦点を合わせる。そして、組織全体の能力と仕事ぶりの絶えざる向上をもたらす。優れた組織の文化は、昨日の優れた仕事を今日の当然の仕事に、昨日の卓越した仕事を今日の並みの仕事に変える」(ドラッカー名著集(2)『現代の経営』[上])

 その優れた組織の文化を実現するものが、行動規範である。したがって、行動規範とは口先のものではない。現実の行動の原理たるべきものである。誰にも見え、行え、評価できるものでなければならない。

 それでは、優れた組織の文化に必要な行動規範とは、具体的にはどのようなものか。規範は五つある。いずれも、仕事と人事にかかわるものである。

 第1に、常に優れた仕事を求めることである。仕事について高い基準を設定していることである。

 第2に、あらゆる仕事を働きがいのあるものにすることである。

 第3に、人事を公正に行うことである。

 第4に、人事に関して上訴の道を用意しておくことである。

 第5に、真摯さを絶対の条件とすることである。

 これらの規範が規範として確立していなければ、いかなる社訓、社則、訓辞も絵空事に終わる。社長がいかに立派なことを言おうとも、人は人事で動機づけられ、仕事で自己実現するからである。

 組織内の者から「うちは、給料はたいしたことないが、クビにもならないね」と言われるようになったら、もうおしまいである。ドラッカーは、このように言われることほど、組織とその文化を損なうものはないと言う。

 それは、無難さの強調だからである。組織の中に官僚を生み出し、起業家精神を阻害するからである。そのようなことでは、優れた組織の文化を生むことはできない。

 「人の強みではなく弱みに焦点を合わせ、出来ることではなく出来ないことを中心に組織をつくることほど、組織の文化を破壊することはない。焦点は常に、強みに合わせなければならない」(『現代の経営』[上])

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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