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1月14日 18時0分
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円高への転換?〜雇用統計の下振れは一時的〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

先週末(1月10日)に発表された米雇用統計における非農業部門雇用者数は前月差+7.4万人と、事前予想を大きく下回った。この発表をきっかけに、米経済に対する不透明感が高まり、米債券市場では昨日(1月13日)までに長期金利が2日連続で低下し、為替市場においてドル円相場は一時102円台とほぼ1か月ぶりの水準まで円高が進んだ。


今回の雇用統計の低調は、2013年後半以降続いている、米経済の回復が途絶えることを意味するのか?そして、円高ドル安が始まるのか?その可能性は低いと考えている。

一つの理由は、報道されている通り、下振れの多くは悪天候で説明できることである。具体的には27.3万人の就業者が天候要因で就業できなかった。もともと、クリスマスの時期に寒波が訪れる12月雇用統計は天候の要因を受け易く、12月は平均約13万人悪天候で就業が妨げられる。今年は、例年よりも10万人以上多くの労働者が、悪天候によって就業が困難になった。

また、他の雇用関連指標と比べても、先週末雇用統計の数字は悪すぎる。例えば民間調査会社ADP社によれば、雇用者数は20万人を超える伸びとなっていた。ADP社による雇用調査と、雇用統計(政府による調査)との差を過去に遡って比べると、12月の両者の差は格段に大きい。雇用統計が、天候要因で歪んでいる影響が大きいことを示している。

加えて、12月の雇用者数の伸びは低かったが、10-12月の他の米国の経済指標は総じて堅調に回復している。2013年央まで低調だった輸出や設備投資関連指標が10月から改善しており、10-12月の米GDP成長率は年率ベースで3%前後まで高まる可能性が高い。7-9月の年率+4.1%に続く、2四半期連続での高い成長が続いていることが、1月末に発表されるGDP統計で明らかになるだろう。

冒頭のグラフで示した通り、雇用統計の下振れ後円高ドル安となり、昨年12月半ばにFOMCでの金融緩和縮小(テーパリング)が決まる前の水準まで、ドル安が進んだことになる。昨年末に量的金融緩和縮小に踏み出したFRBの判断を市場はポジティブにとらえ、市場心理は大きく好転した。今回の雇用統計の悪化は一時的な要因で説明できるが、寒波の影響で他の経済指標が下振れる懸念が残る。目先については、FRBの政策判断の妥当性に対して市場の疑念が燻り、投資家心理が不安定な局面が続く可能性がある。

ただ、為替市場では、雇用統計の余波でドル円相場は今週もドル安が一段と進んだが、ユーロドルは雇用統計直後に動いた後、ほぼ横ばいで推移している。ドル円の動きが示すほど、為替市場でドル安が全面的に進んでいるとは言い難い。

いずれにしても、米経済指標を幅広く俯瞰すれば、米景気の堅調な回復は保たれている可能性が高い。市場の不安心理もいずれ後退するだろう。この判断を踏まえれば、「経済指標の歪み」に起因する市場心理の悪化が続くなら、それは外貨建て資産への投資の好機になる。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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