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「世界同時不動産不況」の様相も
今後数年は“底”が見えない!?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第43回】 2008年8月26日
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 国土交通省が8月20日に発表した、今年7月1日現在の「地価動向」によると、3ヵ月前と比べて主要100地点のうち38地点の地価が下落しており、足許で不動産市況が急速に冷え込んでいることが明らかになった。

 わが国の不動産市況の下落の背景には、景気が後退局面に入っていることに加えて、米国のサブプライム問題をきっかけに、世界的に“不動産バブル”が弾けたことがある。

 世界的なバブルの崩壊によって、今まで都心部などの不動産を積極的に買い漁って来た海外の不動産ファンドの動きが一挙に鈍化した。それに伴い、わが国の不動産市場の需給関係が崩れ、主に都市部不動産を中心に価格下落が加速している。

 加えて、マンション価格の高騰が続いていることにより、需要サイドの意欲は大きく減退している。マンションが売れないため、ディベロッパー中心に経営状況が悪化する企業が出ている。こうした“マンション不況”の進展によって、同分野の企業の倒産件数も上昇傾向を辿っている。

 今回の“不動産不況”の元凶となった米国の住宅市場を見ると、依然、下げ止まりの兆候は見られない。グリーンスパン前FRB議長は、「米国の住宅価格の下落は、来年の前半まで続く可能性が高い」と指摘している。

 一方、欧州に目を転じると、“不動産バブル”に踊ったスペインや英国、アイルランドなどは、いずれも現在、“不動産バブル”崩壊の後始末に追われている状態だ。世界的な不動産価格の下げ止まりには、もう少し時間を要すると見るべきだろう。そうした現象について、一部の専門家からは、「“世界同時不動産不況”が発生している」との指摘もあるほどだ。

市場コンセンサスとカネが背景に
「世界不動産バブル」の発生メカニズム

 そもそも、バブルが発生する背景には、いったい何があるのだろうか? そこには必ず2つの要因が必要だ。1つは、多くの人が「これは上がる」という感情を共有できる状況があることだ。

 世界初のバブルとして名高い「チューリップバブル」の時代から、その構造は基本的に変わっていない。17世紀のオランダでは、「チューリップがとても綺麗な花を咲かせるので、皆が球根を欲しがるだろう」とのコンセンサスが形成され、球根の値段が異常な水準まで上がってしまった。

 1980年代後半のわが国において、「不動産は永久に上がり続ける」という“土地神話”ができ、不動産価格が一挙に高騰したことは、今でも日本人の記憶に強く残っている。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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