確定申告のシーズンがやってきた。源泉徴収や年末調整があるため、確定申告とは無縁というビジネスパーソンも多いだろう。ただ、病気やけが、自然災害などで思わぬ出費がかさんだ場合、申告すれば払いすぎた所得税が還付される可能性がある。知っておきたい制度変更もある。これまで、大盤ぶるまいだった経費(給与所得控除)が絞られる一方、新たに拡充された経費(特定支出控除)もある。家計が厳しくなるなかで、余計な税金を払うことは避けたい。基礎編から応用編まで、知らないと損する「確定申告法」を伝授する。第1回は「給与所得控除」と「特定支出控除」の基礎知識を押さえよう。

給与所得への増税ラッシュ <br />拡充された「特定支出控除」は使えるか<br />――税理士 松木昭和まつき・あきかず
1963年東京生まれ。早稲田大学大学院修了。税理士・行政書士・社会保険労務士・宅地建物取引主任者。1985年創業。法人税・個人税の申告支援、相続・事業承継のサポート、不動産取引などを中心に、個人・法人を対象にした幅広いコンサルティングを展開。『週刊ダイヤモンド』、『週刊東洋経済』、『週刊エコノミスト』、『サンデー毎日』、『週刊朝日(臨時増刊)』などに執筆。

 ビジネスパーソンの大部分は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了するので、確定申告の必要はない。

 しかし、①2000万円超の給与所得者、②2ヵ所以上から給与をもらっている人、③20万円以上の副収入がある人、などビジネスパーソンとして成功している人は、確定申告の必要がある。

 もちろん、医療費控除や雑損控除など年末調整で税金の確定が完了していない人も、確定申告をすることにより税金の還付を受けることができる。

 それでは、ビジネスパーソンの税金の仕組みを簡単におさらいしてみよう。まず、名目の給与に税金がかかるわけではなく、課税される所得を計算することから始まる。