マニュアルのない接遇力は
何によって高められるのか

 さらに浜田氏は、マニュアルのない接遇力は、フィードバックによって高められることを説く。

「この場合のこの点はよかった、ここは駄目だった。この場合は、こうするともっとよくなる。といったケーススタディを用いたレクチャーを通じて、企業資産となる知識に変えていくことが可能です。接遇力向上のためには、一度の取り組みで終わるのではなく、定期的に、継続的に取り組むことで効果が上がります。各部署から持ち寄ったケースやフィードバックを発表し、積み重ねていく仕組みを企業が持つことが重要です」

 顧客からのクレームを中心に、対応方法を共有し、今後の改善をもたらすことも接遇力を向上させる1つのポイントではあるが、顧客から褒められたことを共有することも、接遇力向上の大きなポイントだと浜田氏は言う。

「日本の場合、悪い部分を改善することで、全体の品質を上げるというアプローチが多い気がしますが、接遇力はよい点から伸ばす方法も有効です。その取り組みによって社内環境もよくなり、人間関係を円滑にし、企業内でお互いに自然に協力し合う関係が生まれるところも利点です」

 次回は、「接遇力のレベルと、企業の売り上げがリンクする」ことを中心に、企業が接遇力の向上に取り組む意味、メリットについて考える。