住宅メーカーとしての
こまやかな配慮

 シノン青葉台は、自然に囲まれた閑静な街並みに立つ鉄筋コンクリート造・地上3階建ての建物で、シングル、ファミリー向けの全74戸の居室を備える。いずれ要介護状態の住人が増えたときには建物を健常棟と介護棟に分け、さらには介護棟を独立させ、有料老人ホームとしても利用できるなど、将来的な変化にも対応できるようにプランニングされている。

 間取りは広めの1R(27.28平方メートル)から夫婦2人での入居が可能な2LDK(62.2平方メートル)までを用意した。2LDKはいち早く契約が決まり、空室待ちが出るほどの人気だ。

 建物内では、手すりの設置やオール電化キッチン、スムーズな生活動線など、住宅メーカーとしてのノウハウを生かした、安全性と利便性へのきめ細かな配慮が見られる。例えば​1​L​D​K​や2LDKの居室では、トイレのドアを玄関側と寝室側の2方向に設けた。玄関からトイレ、寝室、風呂が一つの道線でつながり、これだけで使い勝手は大きく向上する。

 また余裕のある敷地を生かして、ラグジュアリーなラウンジ、入居者同士が交流できるプレイルーム、屋上庭園など、充実の共用スペースを備えた。遠方から訪ねてきた家族や友人が泊まれるゲストルームは、入居を決める際の重要なポイントになっている。駅からのアクセスが少し遠い点は、1日3回の送迎バスの運行でカバーした。

 サービス面では、基本の安否確認や生活相談サービスに加え、食事提供や、家事代行、緊急対応サービスを提供している。入居者はアクティブシニアが中心なだけに、朝・昼は外食し、夕食のみ食事サービスを利用する人が多いという。14年1月にはデイサービスが開始され、今後も訪問介護や医療サービスを順次開始する予定だ。

 シノン青葉台はオープンから2ヵ月で5割が契約済みと、滑り出しは好調だ。昼間は外出している方が多いなど、当初のもくろみ通り、入居者のうち半数以上をアクティブに暮らしを楽しむ自立高齢者が占めている。

アクティブシニアが
巨大市場に

 積水ハウスでは今後、「サ高住専用商品のラインアップ強化」や「早めの住み替えの推進」「医療・介護サービスとの連携による、終末期まで住み続けられるサ高住の供給促進」などに取り組むとしている。森岡課長は特に、シノン青葉台のような首都圏での自立高齢者向けのサ高住の展開に自信をのぞかせる。

「団塊の世代は数年前まで、高齢者向け住宅にはあまり興味を示していませんでした。しかし最近になって、自分で納得できる住宅を探して早めに住み替えをしたいと考える人が増えています。今後、団塊の世代の高齢化とともにアクティブシニア向け賃貸住宅が大きなマーケットになっていくと考えられます」

 土地活用を検討するオーナーにとって、これからは“アクティブシニア”が注目のキーワードとなるだろう。