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5つのポイントで占う2014年

消費税アップに間に合わない
情報システムが多発する!?
――国立情報学研究所・佐藤一郎教授

佐藤一郎 [国立情報学研究所・教授]
【第12回】 2014年1月27日
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2013年は日本が大きな転換に踏み切った年だった。経済面では何と言っても「アベノミクス」に尽きる。黒田日銀が「異次元金融緩和」に踏み切り、10兆円を超える補正予算も手伝って、日本経済は回復基調に入った。さらに、2020年の東京オリンピック開催も決定、楽天の田中将大投手が24連勝という前人未踏の大記録を打ち立て、同球団は初の日本一にも輝いた。総じて日本経済には明るい雰囲気が戻りつつある。一方、安倍首相は年の瀬になって靖国神社に参拝し、日中、日韓との関係改善はさらに遠のいたようにみえる。

さて、新年はまず4月に消費税増税が実施される。景気への影響が懸念されるものの、財政再建には道筋がついたとは言い難い。さらに緊張高まる東アジア情勢に、安倍政権はどう対処するのか。2014年は午年。軽やかに駆け抜けることができるのか、暴れ馬のごとき年になるのか。経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、新年を予想する上で、キーとなる5つのポイントを挙げてもらった。第12回は、当サイトで「佐藤一郎のパースペクティブ」を連載中の気鋭のコンピュータ・サイエンティストに、ITをテーマに2014年に注目する動きを解説してもらった。

①IT業界のキーワードはビッグデータからIoTに

 IT業界で、この二年間に話題を集めたキーワードといえば、実態は別としても、ビッグデータであったといえよう。ビッグデータは、当初、SNSやネットゲームを含むネットサービスがもつ、大量データを分析することが主体であった。引き続きネットサービス系のデータ処理への需要は高いが、今後はいよいよ現実世界を扱うことに関心が移っていくだろう。

 そうなると話題となるキーワードも、ビッグデータからInternet of Things (IoT)またはMachine-to-Machine (M2M)に変わっていく。というのは 現実世界に関するデータを分析して、知見を得るには、現実世界に関するデータが必要であり、それを担うと期待される技術がIoTやM2Mである。

 ここで注意が必要なのは、IoTもビッグデータも方向性としては同じであり、結局、何に重点を置くかの違いにすぎないことである。ビッグデータのデータ量が大きくなるのは現実世界という大規模かつ複雑な対象を扱うからだが、現実世界に関するデータの分析に重点を置けばビッグデータとなるし、現実世界に関するデータを集めることに重点をおけばIoTとなる。

 なお、IoTはかつて流行ったユビキタスコンピューティングとの違いが問題になるが、仮に違いがあるとしたら、ビッグデータ技術を含む、データ分析との融合であろう。その意味では、IoTを最新技術として過大評価するのも、従来技術の繰り返しとして過小評価するのも適切ではないであろう。

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佐藤一郎[国立情報学研究所・教授]

国立情報学研究所アーキテクチャ科学系教授。1991年慶応義塾大学理工学部電気工学科卒業。1996年同大学大学院理工学研究科計算機科学専攻後期博士課程修了。博士(工学)。1996年お茶の水女子大学理学部情報学科助手、1998年同大助教授、2001年国立情報学研究所助教授、を経て、2006年から現職。また、総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻教授を兼任。
専門は分散システム、プログラミング言語、ネットワーク。


5つのポイントで占う2014年

4月に消費税増税を控え、中国・韓国とは緊張状態を維持したなかスタートする2014年。世界は、日本はいったいどのような変革に見舞われるのだろうか。企業経営者、識者の方々にアンケート方式で、2014年を占うポイントを5つ、挙げてもらった。

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