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消費増税後のリスク〜住宅の反動減は限定的〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

来週の重要経済指標、主要企業決算についてPDF版のレポートで解説しています


2013年末まで日本経済は堅調な回復が続いている。いくつかの要因が影響しているが、4月からの消費増税前の駆け込み需要が、住宅や乗用車や耐久消費財に表れていることがある。

そして、4月の消費増税以降、この駆け込み需要の反動減がどの程度表れるか?筆者は、駆け込み需要の反動減の悪影響は長期化しないと想定しているが、仮にこのショックが大きく長引けば、2014年度の低成長・株安要因になる。そのリスクを判断するのは現段階では難しい。

ただ、駆け込み需要の動きが一足早く表れる業界がある。それは住宅業界である。9月までの契約について消費増税5%が適用されるので、駆け込み需要が既に起きている。以下では、住宅関連データについて、前回の消費増税前(1996年)と現在を比較してみる。

まず新築住宅着工だが、1996年と2013年の1年間でみると、ほぼ同様のペースで新築住宅着工が増えている。2013年はアベノミクス発動で個人消費が増え、住宅需要も底上げされた面はあるが、ほぼ同様の伸びで駆け込み需要が起きた可能性がある。1997年の消費増税前の経験を踏まえると、2013年12月分の新築住宅着工から、大きく減少する可能性が高い(なお、来週12月分の新築住宅着工が発表される)。


また、住宅着工よりも早く、住宅販売において、5%の税率が適用される9月以降駆け込み需要の反動減がでている。新築マンション契約数(首都圏+近畿圏)は2013年9月がピークで、その後大きく減少した。同様の動きは、前回消費増税前の1996年にも起きた(グラフ参照)。


いずれも、9月のピークから新築マンション契約が落ち込んだが、反動減後の10-12月の水準が異なることが注目される。1996年10-12月に契約数は大きく落ち込み、1996年初よりも半分以下と極端に低い水準まで落ち込んだ。一方、2013年10-12月の契約数は、さすがに9月からは大きく減少したが、2013年初と同程度の水準を保っている。

足元でマンション契約の駆け込み後の反動減が1996年のように大きくないのは、メディアでも報じられている通り、4月の消費増税後の、住宅ローン減減税拡充、住宅購入者に対する所得控除・給付金などの政策が、一定の効果を発揮しているのだろう。また、脱デフレが進む中での、人々のインフレ期待の高まりが住宅需要を底支えしている可能性もある。

今後の統計をみる必要はあるが、仮にマンション販売の反動減と同じ程度の住宅着工の減少で済めば、1997年のように住宅着工の落ち込みが深刻になる事態は回避される。1997年は消費増税後、住宅・消費の大幅な需要減のショックが起き、それに政府の歳出削減などが重なり深刻な景気後退が起きた。駆け込み需要の反動減が限定的なら、それは一時的な攪乱要因で済み、1997年同様のリスクシナリオが起きる確率は低くなる。

もちろん、駆け込み需要は住宅部門だけで起きるわけではないため、これだけで過度の楽観論は禁物である。駆け込み需要に伴う総需要の攪乱(ショック)に起因する2014年度の成長率に及ぼす影響は、住宅部門を中心に1997年度ほどは大きくないという程度である。

駆け込み需要がもたらす攪乱より大きなリスクは、消費増税による可処分所得の目減りが、個人消費全体に及ぼす影響である。個人消費の下押しを、設備投資と輸出(世界経済)の回復でカバーできるかどうかがより重要だろう。脱デフレの途上での大型増税は無視できないリスクだが、海外経済や設備投資の回復で、日本経済はなんとか持ち堪えると予想している(1月10日レポート)。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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