橘玲の日々刻々 2014年1月28日

靖国問題をめぐる
”歴史のねじれ”は今後も解消されない
[橘玲の日々刻々]

 安倍首相が昨年末に靖国神社を参拝したことに中国や韓国が激しく反発しています。靖国をめぐる問題はなぜこれほどまでにこじれるのでしょうか。

 安倍首相は靖国に参拝する理由を、「戦場で散っていった方々のために冥福を祈り、手を合わす。世界共通のリーダーの姿勢だろう」と説明しています。アメリカのアーリントン墓地をはじめとして、どの国も戦場で生命を落とした兵士を手厚く弔っていますから、これは安倍首相のいうとおりです。しかしここでは、重大な問題が素通りされています。

 靖国神社は明治維新の翌年に戊辰戦争の官軍の犠牲者を弔う「東京招魂社」として建立され、その後、明治天皇によって「靖国」と改称されました。戦前の軍隊は「皇軍」で、兵士は天皇の名のもとに戦って散っていったのですから、その魂を鎮める祭司は天皇以外にありえません。その出自から明らかなように、靖国神社は天皇の神社だったのです(実際は陸軍省と海軍省の共同管理)。

 ところが日本を占領したGHQが国家神道を廃止したことで、靖国神社も一般の宗教法人に格下げされてしまいます。これが「首相の参拝は憲法の政教分離原則に反する」との批判の根拠ですが、より本質的な問題は、民間の宗教施設が「英霊」を祀っていることにあります。国のために生命を捧げた兵士たちの慰霊は国家が行なうのが当然で、日本以外にこのような奇妙なことになっている国はおそらくないでしょう。

次のページ>> A級戦犯合祀の代償


橘玲の書籍&メルマガのご紹介
世の中(世界)はどんな仕組みで動いているのだろう。そのなかで私たちは、どのように自分や家族の人生を設計(デザイン)していけばいいのだろうか。
経済、社会から国際問題、自己啓発まで、様々な視点から「いまをいかに生きるか」を考えていきます。質問も随時受け付けます。
「世の中の仕組みと人生のデザイン」 詳しくは
こちら!
橘 玲の『世の中の仕組みと人生のデザイン』 『橘玲の中国私論』好評発売中!

バックナンバー

»関連記事一覧を見る

海外投資必勝マニュアル&本

海外投資のノウハウが凝縮! ここで紹介しているコンテンツ、書籍はすべて、ネットから購入が可能です。さらに「海外投資実践マニュアル」は「海外投資を楽しむ会」の会員になれば割引価格で購入可能です。

作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
橘玲×ZAiONLINE海外投資の歩き方
作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
subcolumn下影

ページのトップに戻る

本WEBサイトに掲載している全ての記事およびデータについて、その情報源の正確性・確実性・適時性を保証したものではありません。本サイトの提供情報を利用することで被った被害について、当社および情報提供元は一切の責任を負いませ ん。万一、本サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社および情報提供元は一切責任を負いません。本サイトからアクセス可能な、第三者が運営するサイトのアドレスおよび掲載内容の正確性についても保証するものではなく、このような第三者サイトの利用による損害について、当社は一切責任を負いません。また、併せて下段の「プライバシーポリシー・著作権」もご確認ください。