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経営のためのIT

【ITの貢献度】
ITの可能性と限界を共有するために
必要な客観的視点

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第10回】 2014年1月31日
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経営にとってITがどのように貢献できるのか。今さらながらともいえる疑問ではあるが、これを経営者や事業責任者にわかりやすく的確に説明することは容易ではなく、IT部門の永遠の課題ともいえる。今回は、ITをいくつかのタイプに分類し、経営やビジネスへの有効性やインパクトを解説する。

 企業の競争力や成長性においてITの有効活用が重要であることは、これまでも多く語られており、すでに論を俟つことなく、経営者や事業部門が十分に理解している企業も多い。一方で、経営陣やIT部門担当の役員が変わるたびに、「ITは一体どのように経営の役に立っているのか」という根源的な質問を投げかけられたり、そもそもIT自体に関心が寄せられなかったりという企業も依然として存在する。

 また、ITに対して理解が深いと思われる経営者であっても、ITの本質的な価値や潜在的な可能性を含めて腑に落ちているかどうかは疑問である。IT部門は、ITを提供し運営する立場であるため、ITが必要であることを前提と考えがちであり、そもそも何のために必要なのかを考えることは少ない。

 経営にとってITがどのように貢献できるのかについて経営者や事業責任者にわかりやすく的確に説明するために、まずは、ITの有用性を擁護する立場からでなく、客観的な視点で考えてみることが有効となる。

ITが競争優位に
直結するわけではない

 はじめに、ITの活用と企業の競争優位性の因果関係について考えてみたい。ここで、「ITを高度に活用している企業は、収益性や競争力において優れている」という仮説に加えて、その逆・裏・対偶となる計4つの仮説を設定し、その妥当性を検証してみよう(図1)

 いずれの仮説も、100%正当とはいえないことがわかる。すなわち、ITの高度な活用と企業の競争優位性とは、何ら相関関係や因果関係はないように思えてくる。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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