2.その企業の課題にも目を向ける
 多くの就活生は志望動機を書くときに、その企業を絶賛してしまう。K君もそうだった。商社に魅力を感じていたからだ。
 もちろん書いたことに嘘はない。しかし、これが落とし穴だ。
ただの「ファン」になってしまっている。それでは、内定は遠い。
その企業に入社するとは、どういうことか。その組織の一員として貢献することではないか。幾多の困難や課題を乗り越えて、組織に利益をもたらすことだ。
 目の前の業績や、カッコイイ仕事にだけ目を奪われていてはいけない。もっと多角的な視点でその企業を見よう。
 課題は見えているだろうか。もっと良くするために、必要なことが提案できるか。当然持っていてほしい問題意識だ。次々にその企業の課題を発見し、解決に取り組む人こそがほしい人材だ。
 誤解のないように補足しておくと、志望動機にダメ出しを書くのではない。単なる批評家のダメ出しでは、採用側を不機嫌にするだけだ。
 もし書くとしたら、その企業の課題がきみのヤリタイコトことだった場合。それが的を射たものであれば「お!」と思ってもらえるだろう。

3.ヤリタイコトができる他業界と比較する
 次にK君が研究し忘れたこと。それは、「ヤリタイコトができる(と思い込んでいた)商社」以外の業界を研究しなかったことだ。
 志望業界に強い憧れがある大学生がこれをしてしまう。
 グローバルな仕事は商社以外でもできる。逆に、この時代にグローバルな要素がまったくない企業はあるだろうか。自動車メーカー、家電メーカー、重工メーカー、食品メーカーなどのメーカー業界でも同じことができるだろう。もちろん、ゼネコン、プラントエンジニアリング、インフラでもできる。
 時間がないのも分かる。気持ちが固まっているから他のことを考えたくないのも分かる。それでも調べてみよう。意外と興味のある仕事が見つかって志望業界に入ってきたりする。
 実際に面接でも「きみの言っている仕事は、他の〇〇業界でもできるのでは?」と突っ込まれる可能性が高い。しっかりと準備しておこう。