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ソフトバンクはTモバイル買収で
米国通信業界を“破壊”するのか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第280回】 2014年1月30日
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 ソフトバンクがTモバイル買収のための本格的な交渉に入ったと報じられている。その行方がどうなるのか、アメリカの業界関係者と消費者は賛否両論の立場から見つめている。

 Tモバイルは、アメリカ第4の市場シェアを持つモバイル通信キャリア。ベライゾンとAT&Tの強豪2社、その後につける3位のスプリントのさらに下のポジションである。

ソフトバンクとTモバイルは
日米通信界の異端児同士

 ところがそのTモバイルは、昨年から「Unキャリア」と呼ぶ大掛かりなプロモーションを展開してきた。「Unキャリア」とは、これまでの通信キャリアとは違ったアプローチでサービスを提供するという意気込みを指している。

 そのため、同社は昨年から4度にわたってさまざまなキャンペーンを行ってきた。契約期間の縛りのない通話サービス提供、6ヵ月ごとに携帯電話をアップグレードできるサービス、100ヵ国での無制限データ通信などだ。

 それでもまだ、他のキャリアとの早期契約解消による違約金が乗り換えを躊躇する原因になっているとして、Tモバイルへ鞍替えするユーザーには最高で350ドルまでの違約金を肩代わりするサービスも提供している。それも、他社で購入した携帯電話を持って行って乗り換えれば、その場で最高300ドルのクレジットをもらえるのに加えて、である。

 これらの業界の型破り的な手段で攻勢をかけたかいがあって、Tモバイルの市場シェアはどんどん増加している。調査会社のカンターが昨秋発表したところによると、昨年の6~8月の間でTモバイルのシェアは13.2%。前年度から1.1%伸ばしたのは、ずっと減少ばかりの下降線が続いた後の初めての回復だった。

 ちなみに同時期の他のキャリアのシェアは、ベライゾン37.1%、AT&T21.7%、スプリント14.6%だ。ただし、この数字は、違約金肩代わりキャンペーン以前のものなので、現在ではもっと増えている可能性も高い。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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