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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の59「論語」を読む。「歳寒うして……」
時代の波に乗れないと感じている人へ

江上 剛 [作家]
【第60回】 2014年2月4日
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 時代の波に乗れないと感じている人は多い。

 別にたいした主張があるわけではない。それなのに世の中が右に向かおうとしても、どうにも右にカーブを切ることが出来ない。左に向かおうとしても、やはり左に切れない。なにか違和感を覚えてしまうからだ。

 これは哲学者のことを言っているわけではない。一般の市民にもそういう人は多い。

時代の波に乗れないという思い

 景気が回復している空気が充満しているために、それ以外のことに関してはあまり不満を言えない感じを抱いている。

 日本が中国と戦争するかもしれないと世界の人は不安を感じている。それなのに日本人は、そんなことは起こらないだろう、起こらないはずだという甘い見通しで暮らしている。

 韓国との仲が決定的に悪くなった。どうにかならないものかと思いつつも相手が悪いんだという、大きな声にかき消されてしまう。この大きな声を発するのは、時代の波に乗っている人たちだ。

 隣国の中国、韓国と、これだけ関係悪化しているにもかかわらず世界の平和を担うと言ったり、経済成長を続けると言ったりする国に、たいした反論も出来ない。

 こんな状況は、異常でしょうという声を上げるのは、古い言葉で言えば「非国民」的に思えてしまう。

 ましてや非正規など不安定な職についている労働者は、景気回復の恩恵を受けるにしても最後の最後なので、時代の波に乗れないと思う人も多いだろう。

 時代の波に乗れないからといって、事件を起こしては問題だ。しかし欲求不満から大きな事件を起こす人間は、世の中が自分が引き起こした事件で右往左往するのを見ながら、ほくそ笑んでいるのかもしれない。歪んだ認知願望とでもいうのだろうか。自分が引き起こした問題に世の中が関心を持っている間は、自分が認めてもらった、時代の波に乗れているという妙な満足感を覚えるのだろうか。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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