カトリック教会の露骨なカネ集めが、
宗教改革を招く

カトリックの教義では、「地獄に落ちるべき罪人も、善行を積むことで罪が清められ、天国へ導かれる」と説きます。善行とは、懺悔、巡礼、寄進であり、三大聖地のローマ、イェルサレム、スペインのサンチャゴ=デ=コンポステラへ巡礼することが奨励されました。

 ローマに集まる巡礼者が落とす「お賽銭」が、教会再建の資金となります。そこでレオ10世は考えます。

「ローマに来られない者でも寄進ができるよう、贖宥状を印刷して販売しよう。これを買った者には、巡礼者と同じく罪が清められよう!」

 ドイツの財閥フッガー家が、贖宥状の販売を請け負います(もちろん、手数料目当て)。各国政府は財界人教皇の露骨なカネ集めを警戒し、贖宥状販売を禁止します。

 しかし、神聖ローマ帝国(ドイツ)では、皇帝カール5世が、皇帝選挙の際に、フッガー家から借金をして票を買収したという経緯もあり、贖宥状販売は黙認されます。

 これに激怒したのがマルティン=ルターです。宗教改革の始まりです。