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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

空港外資規制は「外為法改正」で対応するのが国際ルール

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第16回】 2008年2月15日
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 成田や羽田といった空港に対する外資規制の導入問題が、渡辺喜美内閣府特命担当大臣ら3人の閣僚の反対に遭い、「閣内不一致」騒ぎに発展した。

 筆者は3閣僚に肩入れする気など毛頭ないが、国家安全保障の観点から言うと、この外資規制には非常に大きな落とし穴が隠されている。あえて強行すれば、国際社会で物笑いのタネになるどころか、バッシングの対象になりかねない代物なのだ。もし、冬柴国土交通大臣の主張が事実であり、本当に外資規制が安全保障のために必要だとすれば、長年、財務省が抜本改正要求を黙殺してきた外為法の強化という手法こそ、国際社会に通用する標準方式であることが見落とされている。

 「関係各省で事務的調整が終わったものについて、閣僚が違うことを言うのは、組織としてどうか。(伊吹文明自民党幹事長からも苦言があったので)私から注意した」――。

 町村信孝官房長官は8日、こう述べて、成田、羽田といった空港運営会社への外資規制を盛り込んだ空港整備法改正案に反対を表明し「閣内不一致」問題を起こしていた渡辺喜美金融担当相、岸田文雄規制改革担当相、大田弘子経済財政担当相の3大臣に緘口令を布いたことを明らかにした。この日に予定していた空港整備法改正案の閣議決定を見送らざるを得なかったことが緘口令の背景だった。

「安全保障」と「投資促進」は相反しない

 問題の外資規制は、国土交通省が「安全保障・危機管理という点から見て最低限必要なもの」(冬柴鉄三国土交通相)と導入を目指していたものだ。しかし、渡辺担当相ら3人は「資本規制という、鎖国的・閉鎖的な手段をとるのは間違いだ。外国からの投資を促進しようと、首相を先頭にダボス会議にまで行ってきた。ダボス会議から帰ってきたらいきなり外資規制とは、日本がどちらの方向を向いているのか疑われる」「空港会社に緊急時に国への協力を義務づけるといった手段があり得る」(いずれも渡辺大臣)などと反対、議論が暗礁に乗り上げていた。

 つまり、閣内では「安全保障」か「投資促進」かの2者択一議論が発生し、自民・公明の両与党も巻き込み、当の与党幹部が「閣内不一致の印象を与えるのはよくない」と嘆く事態を招いていた。

 だが、こうした2者択一論は、資本取引を巡る現在の国際的な常識に反するものだ。というのは、この2つは相反するものではなくて、両立するものであり、そのための国内ルールの整備手法にも国際標準と呼ぶべき方式がすでに確立されているからである。

 その方式は、原則的に、どのような分野であれ、安全保障上のリスクがある外国からの投資については、あらかじめ横串的に網羅する法律を設けて規制することを明確にしておくというものだ。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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