株式レポート
2月4日 18時0分
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<日米株式市場の急落について>市場は常に行き過ぎる PART2 - 広木隆「ストラテジーレポート」

皮肉なものである。昨日のレポートはこう結んだ。

<今日は節分。「季節を分ける」という意味だ。暦の上では明日から春が立つ。株式市場も今日がまさに陰の極、明日から春へと向かってほしいものである>

昨日はまるで春を思わせる陽気で東京の気温は日中19度まで上がった。ところが立春の今日は一転、真冬に逆戻り。関東では平野部でも積雪の予報が出ている。願いとはまるで正反対の天候となった。意図したわけでは決してないが、この結びの文章には、ふたつのインプリケーションが含まれていた。ひとつが「節分」である。「季節を分ける」→「節を分ける」→「節目を割る」という文脈だ。
昨日の急落でダウ平均は200日移動平均を下回った。昨年9月から10月にかけての下落局面では200日移動平均にタッチして切り返しただけに、ここを割ったことで下値目途が見えにくくなった。ナスダック総合指数は4000ポイントの大台を割り込んだ。

S&P500は長くサポートラインとして意識されていた100日移動平均を割り込んだ。ダウ平均は一目均衡表の雲の下限を下抜けた。これら主要株価指数のテクニカル的なサポートラインがブレークされたことで一気にストップロスの売りが加速し、大幅な下げとなった面もあるだろう。過去に何度か指摘していることだが、米国株式市場は世界で最も洗練され成熟した市場ありながら、案外、(短期的には)テクニカルで動くことが少なくない。その理由はプログラム・トレード(機械的な売買)の増加だと考えられる。





もうひとつのキーワードが「天候」である。昨日の米国株式市場急落の要因は、発表された経済指標が市場の予想を下回る低調な結果となったことであった。マーケットメール朝刊から引用する。

<米供給管理協会(ISM)が発表した1月の製造業総合景況指数は51.3と、前月の56.5から大幅に低下しました。項目別に見ると、新規受注は51.2と、前月の64.4から低下し全体の悪化の一番の要因になっています。落ち込み幅は1980年12月以降で最大です。これだけ記録的な大きさでの単月での悪化となれば、それは異常値であるとしか考えられません。無論、米国を襲った記録的な寒波の影響でしょう。自動車販売の落ち込みも同様でしょう。なにしろ寒くて外出できないのですから、車も買いに行けなかったはずです>

いくらEコマース(電子商取引)が発達した米国とはいえ、さすがに自動車をネットで買うひとは少ないだろう。

ISMの低下はこちらのレポート(米国マーケットの最前線)をご参照されたい。

米国景気指標の悪化を単に天候要因と片付けてよいのだろうか?という声も聞かれる。しかし、天候要因以外に何があるというのだろうか?年末まであれほど景気回復が鮮明になっていた経済が、ほんの数週間で状況が一変すると考えるほうが不自然である。この間にあった出来事と言えば、米国を襲った記録的な大寒波。その影響で一時的に悪化していると考えるのが一番合理的な考え方である。

問題は週末に控えた雇用統計である。もちろん、こちらにも寒波の影響による攪乱リスクが残る。それをどこまで市場が割り引いてみることができるか、である。

さて今日の日本株。コメントするのが馬鹿らしくなるような下げ方だが、少し前のフラジャイル(脆弱)な日本株相場に戻った感がある。主体性がなく、センチメントが少し悪化すれば歯止めが利かなくなる。

昨今、日本株が下げている材料はなんだろうか?新興国不安であり、米国の大幅安であり、それらを背景とした円高の進行である。日本発の悪材料はひとつもなく、すべて海外環境の悪化である。それで日本株が突出した売られ方になっている。こんな理不尽なことがあるだろうか。

なんか、年がら年中、「理不尽だ、理不尽だ」と言っているような気がする。いや、気がするのではなく実際に言っているのだ。「理不尽なこと」というレポートを書いたのはつい半年前のことであった。そのレポートではこう述べた。

<為替相場を語るときに、一番説明がつきやすのが、「勢い」である。一旦、トレンドが出るとその流れに乗るトレンド・フォロワーが多いからである。日米の金融政策の基本的な方向感を考えれば、円安ドル高の基調であることはまったく崩れていない。足元の円高は一時的なものだろう。

そして、そんな気紛れな為替相場に引っ掻き回されて乱高下する日本株式市場の脆弱性。理不尽というより、そのプリミティブさ(幼稚性)に呆れる。いつまでたっても、日経新聞の PER が基準で、その PER 15 倍が居心地のよい水準だ、とでもいうかのように、日経平均は 1 万 3000 円台半ばを定位置として放れようとしない。

10 日、土曜の日経新聞には「企業、売上高 2 兆円上振れ」という記事が載った。経常利益の額は製造業中心に 4000 億円、期初から上積みだという。もう間もなく、最終的な集計結果が紙面に掲載されるだろう。そうなって初めて日経予想も上方改定され PER の水準も下がる。本当は、そんなこと、もう分かっているはずなのに。日本株の水準訂正は、それを待って、ということになりそうだ。理不尽だが、仕方あるまい>

まったく現在と同じ状況である。つい半年前にも業績無視、バリュエーション無視の相場があった。

さらに振り返ればアベノミクス相場が始まる直前の2012年秋には、「PAST<FUTURE」というレポートを書いた。理不尽としか言いようのない日本株式市場の低迷ぶりを嘆き、後で振り返れば相場の底をとらえた記念碑的レポートである。

<現在の日本株式市場は極端な弱気と悲観論に支配されており、見方があまりにも短視眼的過ぎるように思える。あるいは週末にSQを控えて「確信犯的に」弱気相場を演出しているのだろうか。構造問題を議論する場ではないと知りつつも、少しだけ嘆きをご容赦願いたい。80年代バブルをやり過ぎたために、その後長きに渡るバリュエーション調整が必要だった。それが日本経済、日本株の「失われた20年」だった。この長期停滞が「日本株離れ」を招いた。成功体験が誰にもなく、日本株は儲からない資産の代表格になった。それが現在の投資家不在の状況を生んでいる。市場に投資家がいない。だから、見方が一方に偏ったまま、それを是正・修正する動きが入らない。

市場に関わる者にとって、市場は常に正しい。それは黄金律である。しかし、あえて云う。ここまで歪んだ日本株式市場は間違っていると。少なくとも、約5年来の高値圏にある米国株が、決算発表を控えたポジション調整で少し(0.8%)下げただけで、安値圏に沈んだままの日本株がそれに追随するどころか、ダウ平均の下落率の倍以上(約2%)も下げるというのはどう考えても行き過ぎである。まして、その理由が、漠然とした(具体的なデータに基づかない)世界景気の先行き減速懸念というものなら、なおさら「歪んでいる」としか表現のしようがない>(2012年10月10日付レポート「PAST<FUTURE」

歴史は繰り返す、などと大袈裟なことを言うつもりはない。相場は繰り返す。しかも、こんな短期間で何度も。だからこそ自信を持って言えるのだ、「市場は常に行き過ぎる」と。そして、それこそが絶好の投資チャンスなのだと。

日経平均1万4000円という水準は、昨年5月に高値をつけて直後に急落、それ以降半年にわたって調整してきた三角保ち合いの中心レンジである。その保ち合いを昨年11月、米国雇用統計の改善を受けた上昇で上放れたはずだった。そこに戻るということは、昨年11月以降のファンダメンタルズや市場の見方をすべて否定するということである。

現在の水準を正当化する市場関係者がいたら、その者は昨年11月以降のコメントをすべて撤回するということだ。

僕はしない。何度でも言う。こんな水準の相場は間違っている。
以上。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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