新興国をめぐる国際的投機資金の流れの変調を受けて、世界各国の株価が暴落している。日本でも、株価の急落現象が起きている。

 日本の場合、実体経済の本格的な回復ではなく「期待」によって株価が高騰してきた面が強いため、とりわけ変化が急だ。以下では、その背景を分析することとしたい。

13年春頃に高まった期待が、
12月ごろから崩壊

 人々の期待の変化は、[図表1]の株価水準の推移に明確に表れている。13年春頃まで急上昇し、その後一進一退状態になった。株価が停滞したのは、13年5月頃以降、円安の進展が止まり、QE3テイパリング(金融緩和政策の縮小)の予想も広まったからだ。

株価を高騰させた「期待」が崩壊<br />――対前年同月比は、すでに12月から急落

 ところで、株価については、通常、水準が問題とされ、上昇率にはあまり注意が払われない。しかし、投機的な株式投資は、配当ではなく、売買益を狙うものだ。そうした投資で問題となるのは、価格上昇率である。そこで、株価についても上昇率を見ることが有益だろう。

 [図表2]に示す株価の対前年比増加率には、「13年春頃に急騰した期待が、12月頃から崩壊」という経緯がより明確に表れている。すなわち、対前年比は、13年の4月頃から急速に上昇した。しかし、5月末から6月初めに急落し、その後は一進一退状態となった。