ビジネス、サイエンス、テクノロジー……あらゆる分野で女性の活躍が著しい。しかし一方、世界の先進国の中で日本における女性の活用・登用は最低水準にあるという不名誉な状況は、最近の調査でも変わっていない。国レベルでの政策転換が求められるのは当然だが、進めようとする側からして男社会なので、見ていてどうにも歯がゆい。メディアも男性的視点からの取り上げ方が多すぎる。

本連載は、女性博士研究者が集うリサーチ/エンジニアリングユニット「CHORDxxCODE」に参加する私たち7人の女性エンジニアたちが、男女の対立軸など一気に取り払い、女性らしい女性の視点、ありのままの今日的な視点で、「女性的エンジニアリングの時代」を読者に伝えようとするリアルタイムレポートである。(文/CHORDxxCODE 久保友香)

未来の家事ロボットは
女性が技術開発するのだろうか?

 世の中にある技術の使い手の半分は女性である。女性が利用する技術は、女性が開発した方が、使い手の希望を叶えやすいはずだと、誰もが考えるだろう。しかしこれまで、洗濯機、掃除機、冷蔵庫など、使い手の大多数が女性である技術であっても、開発するのは男性だった。女性エンジニアという存在が、ほとんどいなかった。

女性が利用する技術は女性エンジニアが開発する?<br />IHクッキングヒーターとプリクラの事例で考える図1 工学系分野の学部卒業者と大学院修了者の女性比率の推移
文部科学省科学技術政策研究所「日本の大学教員の女性比率に関する分析」(2012年5月)より引用

 しかし今、状況は変化している。大学の工学系分野卒業者に占める女性の割合は、20年前には5%に満たなかったのに、現在は10%を超えるようになった。その理由は、そもそも大学に進学する女性が増えたこともあるだろうが、機械技術だけでなく、電気・電子・情報技術が発展し、男性より体力が劣る女性でも、扱いやすい分野が増えたこともある。

 技術系企業で、大学の工学系分野を卒業した女性に特化した採用も始まり、技術系企業の中に女性のみの部署も誕生している。今、技術開発に関わる女性が増え、女性的エンジニアリングの時代が訪れようとしている。

 未来、女性が利用する技術は、女性エンジニアが開発するようになるようになるかもしれない。例えば、各家庭が持つかもしれない家事ロボットは、女性が技術開発するのだろうか?