国連で中国と韓国が異例の日本批判
日本を巡る各国の複雑怪奇な関係

 1月29日、国連の安全保障理事会の場で中国と韓国の国連大使が、安倍首相の靖国参拝などを取り上げて激しくわが国を批判した。今までも、中国と韓国は日本批判に関して歩調を合わせることが多かったが、今回のように国連の安全保障理事会での批判は異例のことだった。

 このような事態の発生に関して、政治には門外漢の経済学者でる筆者が、自分なりに現在の日米中韓の関係を考えてみる。まず頭に入れておくべき出発点は、日米中韓の中心ポイントとなっているのが中国と米国の関係であることだ。

 米国は世界No.1の経済大国であり、やや勢いが衰えたとはいえ覇権国だ。強大な経済力と軍事力をバックに、依然として世界最強の発言力を持った国だ。一方中国は、今や世界第2位の経済大国にのし上がり、急速に軍事力、特に海軍力を強化している。

 米中の関係は、冷戦時代の米ソの関係とは大きく違っている。米ソの場合、両者の依存度は低く、主に核弾頭の保有数などの軍事力の増強競争を展開していた。一方、現在の米中の経済における相互依存度は高く、米国は中国が変調をきたすと困り、中国も米国がおかしくなると相応の痛手を受けることになる。

 その米中の関係に、一時の経済力が衰えつつある日本と、経済力をつけてはいるものの独特の政治情勢を抱える韓国が絡み合っている。それだけではなく、厄介な北朝鮮やロシアも絡んでいる。そこには、極めて複雑怪奇な関係が展開されている。

相互依存度の高い米中経済

 米国と中国の関係を考えるとき、最も重要なポイントは相互の経済依存度の高さだ。主要先進国にとって、中国は最も重要なポテンシャルを持ったマーケットだ。13億人の人口を抱え、平均賃金水準が上昇しつつある中国は、今後さらに大きな需要地になると見られる。