であれば、健常者と障害者が別々の大会で競うことになんの問題があるのだろうか。

健常者スポーツと
障害者スポーツの融合

 障害者雇用に関しても、従来は健常者の職場と障害者の職場を分けていた。それが最近では、同じ職場、同じオフィスで共に働くという方向性に向かっている。つまり、「健常者と障害者の融合」である。それが障害者に対するスタンダードな考え方になってきているとすれば、スポーツ大会についても同様に考えるべきだろう。

 テレビ中継でも、たとえば女子モーグルの後には、障害者アルペンスキーを放送する。そうなってこそ、本当の意味で障害者に対する差別意識、蔑視・偏見の払拭につながるのではないだろうか。

 障害者スポーツでは数字が取れない、とテレビ関係者は思うかもしれない。しかし、それこそ思い込みというものだ。サッカーだって、昔は数字が取れないスポーツの代表格だった。それがいまでは、テレビ局にとってもキラーコンテンツになっている。カーリングなど、誰も知らなかった競技が、いまでは人気スポーツだ。そんな例はいくらでもある。

 むしろ、障害者スポーツを数字が取れるスポーツにすることが、テレビ局だけでなく、すべてのスポーツ関連企業にとって大きな利益をもたらすはずだ。ビジネスとは、新しい価値を生み出すことなのだから、障害者スポーツに新しい価値を生み出すことを、スポーツに関わるすべてのビジネスパーソンはめざすべきだ。

 さらに言えば、オリンピックとパラリンピックの融合の先には、「健常者スポーツと障害者スポーツの融合」という地平が見えてくる。つまり、健常者も障害者も分け隔てなく競い合えるスポーツの確立と普及である。

 たとえば車いすバスケは、もともとは車いすの人たちのためのスポーツだった。しかし、これは普通のバスケットボールとはまったく別物のスポーツである。つまり、その魅力も違う。だからこそ健常者のなかにも、車いすバスケを楽しむ者も出てきている。実際、障害者に混じって健常者が参加できる大会もある。日本車椅子バスケットボール大学連盟に加盟しているプレイヤーのほとんどは健常者だという。

 このような、障害者も健常者も同列に参加でき、競い合うことができるスポーツが増え、それがオリンピックでも人気種目になることが、本当の意味でのユニバーサルな社会なのだと思う。

 今回のソチパラリンピックでも、たとえばアイススレッジホッケーという種目がある。これは、車いすバスケのアイスホッケー版のようなスポーツだが、これなど健常者も楽しめると思う。そして、健常者のプレイヤーが増えれば、いずれ、同じチームに健常者と障害者が入り交じって試合をする、というような光景が現実になるだろう。それが、オリンピックで正式採用され、テレビ中継されれば素晴らしいと思う。