パラリンピックを生み出した
日本人の責任

 実は、「オリンピックとパラリンピックの融合」はすでに始まっている。

 2012年のロンドンオリンピックに、オスカー・ピストリウス(南アフリカ)という、両足義足のスプリンターが男子400メートル走と400メートルリレーに出場して話題となった。世界トップクラスのアスリートたちと同じ土俵で戦い、個人400メートル走では準決勝まで進出した。つまり、あくまで一個人の、かつ特定の種目に限っての話だが、オリンピックとパラリンピックは、ロンドンにおいてすでに実現しているのだ。

 残念ながらその後、オスカー氏は恋人を銃殺するという事件を起こし逮捕されてしまったが、ロンドンのスタジアムで観衆の前に姿を見せ、颯爽と走る姿は間違いなく美しかったし、カッコよかった。義足でもカッコよかった、のではない。義足だからカッコよかった、のだ。

 障害者に対しては、このような「美の価値観」を変える、覆すことも重要だ。そのためには、カッコよくて美しい障害者アスリートがどんどん出てきて、健常者アスリートに勝つことも大事だろう。そのためにも、まずはオリンピックとパラリンピックを融合し、その先には健常者と障害者が平等に競いあう種目の拡充をめざすべきだ。

第99回記事でも伝えたとおり、パラリンピックは日本人が生み出したものだ。1964年の東京オリンピックのときに、パラリンピックという造語を生み出し、障害者スポーツの大会として確立させた。そのような歴史があるからこそ、2020年の東京オリンピックでは、「パラリンピックのその先」を指し示すべきなのだ。それが、「パラリンピックの廃止、オリンピックとの融合」である。

 東京大会で生まれたパラリンピックを、東京大会で終わらせる。2020年東京大会の歴史的な役割は、実はそこにあるのだ。

 《筆者コメント》
近年、障害の「害」をひらがなで表記することが多くなっていますが、視覚障害のある方に向けた音声ブラウザやスクリーンリーダーを使用した場合、「障がい」という表記は、「さわりがい」と読み上げることがあります。そのため、当記事では「障害」という表記で統一させていただきました。

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