婚活が社会的なブームとなっている一方、最近では離婚するための活動=「離活」を行なう人も増え始めたという。しかし一方で、実際の離婚件数は年々減少している。離婚すると経済的に困窮してしまう女性が、まだまだ多いからだ。その背景には、2007年に施行された「年金分割制度」が、離婚したい女性にとってほとんど追い風になっていないという事実がある。(取材・文/プレスラボ 小川たまか)

 離婚するために行なう活動=「離活」。「婚活」が社会的なブームとなっている一方で、最近じわじわ広まり始めたと言われるのが、この「離活」である。夫と別れたい妻の行動を指す場合が多い。

 家庭問題のカウンセリング事務所などによれば、目に付くのが、大不況によって減給やリストラに見舞われた夫に愛想を尽かした妻が、自分の新しい生き方を探すために、準備を進めるパターンだという。

 しかし、「離活」はまだ婚活ほど大きなトレンドにはなっていない。社会全体の離婚件数が増加の一途を辿っているのかと言えば、実はそうではないからだ。

 5年前、「2007年を境に離婚が一気に増えるのではないか」という観測が巷に広まったのを、覚えているだろうか。

 この話題、当時はニュースなどでたびたび取り上げられた。理由は「年金分割」制度の施行である。04年に閣議決定され、07年4月に施行された。

 「年金分割」と呼ばれるこの制度は、厚生年金を支払う配偶者を持つ専業主婦(主夫)を対象としたもの。

 たとえば、サラリーマンの夫と専業主婦の妻の場合、従来の制度では、定年後の夫が厚生年金と基礎年金の両方を受け取ることができる一方で、妻は基礎年金分しか受け取ることができなかった。

 だが、年金分割制度の施行により、夫が受給する厚生年金の分割を妻が請求できるようになったのだ。08年4月からは、離婚すると自動的に厚生年金が2分の1に分割されるようになった。

 にもかかわらず、一気に熟年離婚が増えると予想された07年の離婚件数は、実際は約25.5万件と前年を約2000件も下回った。08年は、さらにそれを下回る約25.1万件だった(厚生労働省調べによる)。