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ぜんぶ雪のせいか―雇用統計の評価 - 広木隆「ストラテジーレポート」

ぜんぶ雪のせいか-雇用統計の評価
この週末、発達した低気圧の影響で関東地方は記録的な大雪に見舞われた。やっと相場のほうが落ち着いてきたと思った矢先、今度は天候のほうが大荒れとなった。東京都心で25センチの積雪を観測したという。20センチ以上の積雪は1994年以来、20年ぶりとのことである。「20年ぶり20センチの積雪」と聞いて、「2・2・2」を思い浮かべたかたもいるのではないか(僕だけ?)。「2年でマネタリーベースを2倍に増やし、2パーセントのインフレを目指す」という日銀の異次元緩和である。

今のところ、円安による輸入インフレを主因として着実にCPI(消費者物価指数)は上昇している。レポートで何度も書いている通り、問題はこの基調が継続するかどうかだが市場の見方は懐疑的である。それゆえ、市場には追加緩和期待が根強く存在し続けている。

金融緩和を望む声は米国のほうが強く、日本の比ではない。「未練」というレポートで書いた通り、既にテーパリングが実施されている今でさえ、未練がましくテーパリングの規模縮小や、あわよくばテーパリングの休止期待が何かにつけて顔をのぞかせる始末だ。その意味では先週末に発表された米国の雇用統計は、いかに市場が金融緩和という、慣れ親しんだ「麻薬」を手放せないかを示す格好の機会となったと思う。この点は本稿の後半でまた触れたい。

いろいろな媒体で報道されているから、ここでは雇用統計の結果について詳細は述べない。しかし、次の点についてはいま一度レビューしておきたい。予想を大きく下回った非農業部門雇用者数(以下、「NFP」:nonfarm payroll、ノンファーム・ペイロールの略)の伸びの低さは、天候要因がどこまで影響しているのかわからないという点である。

今回の雇用統計は初めから錯乱要因が多く指摘されていた(「米国マーケットの最前線〜いつも以上に予測困難な2つの理由〜」参照)。なかでも寒波による影響がどれだけあるのかが見えなかった。

今回発表された1月の統計で、悪天候のため就業できなかった労働者の人数は26万人。NFPが7万人増と大幅に下振れた前回が27万人、そして今回が26万人だから、今回も前回並みに悪天候要因があったように見える。ところが、1月というのは悪天候のために働けない人が多い月で平均すると毎年40万人以上が働けていないのである。過去平均から見れば今回の天候要因は影響がずっと軽微だったとも言えるわけだ。



このNFPというのは月間まるまるの数字ではなくで、毎月12日を含む週を対象に調査するものだ。1月の調査週となった時期は寒波が緩んで、たいして寒くなかったという報告もある。事実、NFPの内訳を見ると、屋外で働く仕事の改善が、屋内での仕事よりも上回っている。

サービス部門は6.6万人増と、前月の10.2万人増から伸びを縮め、足元で2桁増を割り込んだ。年末商戦明けとあって「小売」が1.3万人減と減少に転じ、「教育」も0.6万人減と2カ月連続の減少。「金融」も0.2万人減と、前月からマイナスに転じている。

それに対して財生産部門では7.6万人増と、寒波と積雪の影響で5カ月ぶりに鈍化した前月の1.3万人増から持ち直しが顕著である。なかでも「建設」が4.8万人増と前月の2.2万人増から増加幅が拡大したのが注目される。建設業はもっとも寒波や積雪の影響を受けやすいからだ。

こう考えると、1月のNFPの伸びの低さは悪天候の影響は少なかったかもしれない。天候要因ではないとすればこのNFP鈍化が示唆する意味は?米国の労働市場の回復力は、実は脆弱なのかもしれない。それが本当だとすると、市場はやがて「催促相場」に走る可能性がある。そう、「テーパリング休止」を求める催促相場だ。仮にそれが、確信犯的行動であったとしても、である。なぜなら、いついかなるときも、エクスキューズ(言い訳)をひとは必要とするからだ。

都知事選に行かないのも「雪のせい」。
負けた方にしたって、「投票率の低さに民主主義の危機を感じる」のも「雪のせい」。
普段はなんとも思っていなかった男の子がゲレンデではまぶしく見えるのも「雪のせい」。
自分から「しないの?キス」と大胆なことを言ってしまうのも「ぜんぶ雪のせいだ」。

http://jr-skiski.com/ad_gallery/
(出所:JR東日本JR SKISKI ADギャラリー)


「米国の労働市場は完全に立ち直ってはいない。だから、テーパリングを一時的にでも停止するべきだ」-そういう論調が強まるかもしれない。本音ではそう思ってもいないくせに、である。市場は常にFEDの緩和スタンスを望む。ただ単純にそれだけなのに、「弱い雇用」というスケープゴートが欲しいのだ。

そうした観点から眺めれば、先週末のちぐはぐなマーケットの動きも合点がいく。米国の株式市場は大幅に上げたが、債券は買われ金利は低下した。金もリスクヘッジの買いが入った。外国為替市場ではドル円だけ見ればドルしっかりの様相だが、実はドルはユーロなど対主要通貨で売られている。つまり、株式市場以外のマーケットは米国景気の失速を見て反応しているのだ。

米国株が上げたのだって、失業率低下を好感したと言われているものの、実はテーパリング休止期待で上げたという面が含まれているかもしれない。

前回のレポート「雇用統計に賭けろ!- 期待値、再び」で提案した戦略を振り返って評価すれば、「結果オーライ」というところだろうか。6日に発表したから、6日の夜に買える米国株か7日の日本株をロング(買い持ち)してくれたら儲かっていたはずだ。NFPの下振れは織り込まれている(備えができている)から、ダウンサイド・リスクが少ない。この賭けは、ロングのオッズが有利であると述べたのだ。

実際にそうなった。しかし - この雇用統計が天候要因以外でも弱さを示し、それを不安視した市場でテーパリング中止の思惑が浮かび始める – そんなシナリオは想定外だった。だから、そこは素直に割り引いて、「結果オーライ」という自己評価に甘んじたのだ。そこまでは読めなかった。これも「ぜんぶ雪のせい」…にできたら楽なんだけど、この商売も。




(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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