株式レポート
2月10日 17時0分
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霧は、晴れず 〜雇用統計を読み解く〜 - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

非農業部門雇用者数(前月差) 1月 +11.3万人 市場予想 +18.3万人 前月 +7.5万人(上方修正)
失業率 1月 6.6% 市場予想 6.7% 前月 6.7%

■期待はずれの非農業部門雇用者数
7日(金)に米国雇用統計が発表となり、非農業部門雇用者数は前月差11.3万人増と市場予想(+18.3万人)を大きく下回った。前月(12月)分が7.4万人増→7.5万人増とわずかに上方修正されるとともに、統計方法の技術的な変更(リバイス)が適用され、過去の数値が変更された(グラフ参照)。


1月分の統計では、12月分の統計悪化が米国を襲っている寒波の影響による一時的なものであることを裏付けるような結果が期待されていた。しかし、結論から言えば、12月と1月の結果は天候要因で説明しきれるものではなく、期待されたように霧が晴れる結果とはならなかった

米国労働省が発表している「悪天候により就業不能となった雇用者数」において、12月は27.3万人と過去10年間の平均と比べて、約9.5万人多かった。これが12月の雇用者数の伸びの鈍りが悪天候によるものだとされる論拠となっていたが、1月分の就業不能となった雇用者数は過去10年の平均よりも約6.8万人少ない(表参照)。また、天候要因の影響を強く受ける建設業の就業者数は12月から1月にかけて増加に転じている。


以上のように非農業部門雇用者数の伸びの鈍化が、天候要因による一時的な振れなのかそれとも労働市場で雇用の伸び悩みが起きているのか、未だに判然としない。6日付のレポートで記したとおり、雇用統計以外の主要な労働市場関連指標(新規失業保険申請件数、ISM非製造業景況感指数の雇用に関する調査など)が改善基調にあることから、筆者は雇用統計の伸びの鈍化は一時的なものである可能性がやや高いと考えている。

■“良い”改善を見せた失業率
一方、同日に発表された失業率は6.6%と市場予想(6.7%)を下回って、前月から改善した。12月の失業率も6.7%と前月から0.3%改善していたが、労働参加率の低下による改善(失業者が職に就くのをあきらめて失業者からカウントされなくなったために、実質的な労働市場の改善は起きていないにもかかわらず失業率が改善する)であったために、労働市場の改善を示すものとは受け取られていなかった。

ただ、1月分の改善は労働参加率の改善(62.8%→63%)を伴ってのものだけに、労働市場の改善を示すものとして評価できる(グラフ参照)。


■雇用統計の発表を受けたマーケットの反応
7日の22時半に雇用統計が発表された直後、非農業部門雇用者数のヘッドラインの数値が市場予想を大幅に下回ったため、マーケットには「株売り・債券買い」の反応が見られた。具体的にはダウ平均先物が発表直前よりも150ドル安程度まで売られ、米国の10年債の利回りは2.71%から2.63%まで一挙に低下(債券が買われた)した。

その後発表内容の詳細が明らかとなると、株式市場は失業率の改善のポジティブな面を好感し、ダウ平均は上昇して始まり、結局165ドル高の15,794ドルで引けた。一方債券市場の利回りは雇用統計の発表直後よりは上昇し、2.68%程度まで戻したものの、発表直前の水準までは戻しきれておらず、株式市場と債券市場で雇用統計に対して評価が分かれた格好となっている。
■今後の注目点
上述したとおり、今回の雇用統計では米国の労働市場が失速しているのか、それとも悪天候による一時的な悪化であり改善基調は変わっていないのか判然としなかった。2月分の発表(3月7日)で上記の点が明らかになるか、改めて注目される。また、3月18日・19日にはイエレン議長体制となって初の連邦公開市場委員会(FOMC)の開催が予定されている。2月分の雇用統計で労働市場の鈍化が鮮明になっていた場合、これまではFOMC内で大きな意見対立は見られなかった量的金融緩和の縮小(テーパリング)のペースの変更について、議論が深まる可能性があり、その点に注目が集まるだろう。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋裕

■用語解説 雇用統計(米国)
米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

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(マネックス証券)


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