20代で「元銭」を作っておく

 私が最初に一番大きな自己投資をしたのは、英会話学校でした。

 大学卒業後に就職した日米合弁のソフトウェア会社では、海外の技術者とやりとりする機会があり、自分の英語がまったく通じないという経験をしたのです。「チキショー!」と思って、貯金を叩いて高額な授業料を払い週15時間も英語の勉強に没頭しました。

 今から思えば、あの投資はあとから効きました。

何かを「やりたい!」と思った時にすぐに始められるだけの、「元銭」を用意しておく。特に20代から30代の若い人には、そうアドバイスしています。

 仮に「100万円貯める」と決めたら、目標を達成するまで脇目も振らず歯を食いしばって働く。その時の生活レベルや生活環境にもよるけれど、とにかく100万なら100万、200万なら200万、今のあなたが一年働かずに食べていけるだけのお金が、私の言う「元銭」です。

「元銭」の大切さは、お金の呪縛から自由になれることにあります

 私自身の経験からしても、「お金がないからできない」という状況ほど悔しいものはありません。自分のなかにせっかく芽生えた情熱や、目の前にあらわれたチャンスを逃してしまう経験を重ねると、人は知らず知らずのうちにお金に呪縛され、「自分の収入が低いからだ」「世知辛い社会が悪い」と負の思考サイクルに入ってしまうのです。

 世の中には、自分の力でコントロールできないことが山ほどある。でも、お金は自分で何とかできる。もちろん、とんでもない大金は無理。やりたいことに挑戦するだけの元手なら、ほとんどの人が何とか作れるはずです。