棚卸資産は、2つの顔を持っている。
「金のなる木」と「時限爆弾」

 従って、棚卸資産残高が不自然に増加している会社は、不良在庫を抱えている可能性が高いと言えます。

 不良在庫は、投げ売りで販売されたとき、あるいは廃棄されたときに損失を発生させます。ゆえに、不良在庫を多く抱えている会社は、将来的に赤字になる可能性が高いと言えるのです。

 なお、2008年4月より、「棚卸資産の評価に関する会計基準」が導入されました。その結果、決算期末において時価の下落した棚卸資産については、評価損を計上することが義務づけられます。この会計基準の適用により、不良在庫による損失が会計上、適時に計上されるようになりました。

 しかし、会計基準が整備されたからといって、不良在庫が発生するリスク自体がなくなったわけではありません。棚卸資産は、会社にとって金のなる木であると同時に、会社に大損害を与える時限爆弾にもなり得ますので、棚卸資産残高の推移には特に注意する必要があります。