内閣法制局長官の給与は
3番目の高ランク

 東京新聞は、13日朝刊で『首相、立憲主義を否定 解釈改憲「最高責任者は私」』を一面トップとした。護憲派の同新聞が、今安倍政権で行われている集団的自衛権の行使容認に拒否反応を示すのはいいだろう。しかし、その前提として、今の法制局の仕組みなどについて、正しい認識をしていない。

 集団的自衛権についての政府見解は、「我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている」である。

 この政府見解を政府自らが変更しようとしている。これまでの見解に大きな役割を果たしていたのが内閣法制局である。しかし、一般の人にはなじみがないだろう。

 内閣法制局は政府内の一部門であるが、その権威は大きい。それを表すのが、内閣法制局長官の給与だ。役人の「格」は給料に反映しており、特別職の職員の給与に関する法律をみればすぐわかる。内閣法制局長官は、総理、大臣に次いで、官房副長官、副大臣、宮内庁長官らと並ぶ三番目の高ランクである。ちなみに、月給は143万4000円(2013年4月現在)。

 ただし、内閣法制局長官は内閣が任命するだけで、官房副長官らの認証官(任免にあたって天皇による認証が必要)ではない。もっとも、常時閣議への陪席が認められており、官僚の感覚からいえば、官房副長官の次くらいにエラい。これを象徴するのが、五反田・池田山にある旧長官公邸。小泉元首相が旧首相公邸より官僚の公邸のほうがいいと言って話題になったものだ。