先月二七日に作家の坂東眞砂子さんが亡くなられた。山崎豊子さんに続き、また女流作家が……、と嘆いていたら、今月一三日には山本兼一さんの訃報が報じられた。

 板東さんは五五歳で、山本さんは五七歳だった。

 お二人とも直木賞を受賞され、脂の乗りきった働き盛りではないか。平成の文壇を牽引すべき人たちがこんなに早く鬼籍に入っていいものかと思うが、彼らの新作をもう読むことができないのが残念で仕方がない。

 書評を書いたことがきっかけでおつきあいのあった山本兼一さんが、次に書く題材が見つからないとこぼされたとき、不遜にも私はネタを提供したりもした。いつかは書くつもりで集めていた資料を、そっくりお譲りしてもいいと申し出てもいた。

 が、山本さんは資料の受け取りを拒まれた。私が言った題材をヒントにするのはあるにせよ、資料まで用意されたら、それは自分の仕事ではなくなる、という理由だった。

 プロってこうなんだな、と感じ入ったものだ。

 私だったら、そのテーマ面白いじゃない、私が書いてもいいの? 資料も用意してくれるの? やったね、とほいほい飛びつくだろう。

 プロのモノ書きの訃報を嘆いているときに、プロがやるとは思えないような問題が表沙汰になった。テレビのワイドショーが盛んに取り上げているので、やや出遅れの感はあるが、全聾の作曲家にして“現代のベートーベン”と謳われた佐村河内守氏と新垣隆氏のゴースト問題である。

 二〇一一年に発売された佐村河内氏の作品『交響組曲第一番HIROSHIMA』はクラシック界では異例の一八万枚を売り上げ、昨年発売の『鎮魂のソナタ』も一〇万枚のセールスを記録した。また、佐村河内氏は、現在開催中のソチ五輪で、高橋大輔選手が男子フィギュアのショートプログラムで滑る『ヴァイオリンのためのソナチネ』の作曲者でもある。

 という触れこみだったのだが、それが全部嘘だった。